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コラム

コラム:中南米社債、高利回り志向の投資家には妙味十分

[ロンドン 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中南米社債には今後追い風が吹くだろう。新型コロナウイルスのパンデミックにより、5月初めから6月の間こそ、この地域の企業のデフォルト(債務不履行)が増加した。しかし高利回りを渇望する投資家は、そうしたリスクをある程度無視するとみられる。

 中南米社債には今後追い風が吹くだろう。新型コロナウイルスのパンデミックにより、5月初めから6月の間こそ、この地域の企業のデフォルトが増加した。しかし高利回りを渇望する投資家は、そうしたリスクをある程度無視するとみられる。写真はブラジルのボルソナロ大統領。ブラジリアで10月撮影(2020年 ロイター/Ueslei Marcelino)

投資家が視界に入れないつもりの悪材料は決して少なくない。国際通貨基金(IMF)は、今年の中南米・カリブ海地域の成長率がマイナス8%を超えて沈み、大半の国では来年も3.6%程度のプラス成長にとどまると予想している。同地域で対外債務を抱える非金融企業の売上高はパンデミックのせいで合計2000億ドル減少しており、来年回復できるのはその半分にも満たない、というのがフィッチ・レーティングスの見積もりだ。

ただ持ち直しの兆しも出ている。中南米の主要国経済は第3・四半期に、それまで落ち込んだ分をある程度取り戻した。工業製品に対する米国の需要が活発化したおかげで、メキシコの季節調整済み前期比成長率はプラス12%を記録。ボルソナロ大統領が主導して財政支出拡大に踏み切ったブラジルも、過去最大の約8%のプラス成長となった。

この先に先進国での追加的な財政出動、とりわけインフラ投資があれば、国際コモディティー価格がさらに上昇してもおかしくない。それはブラジル国営石油会社ペトロブラス、メキシコ国営石油会社ペメックス、ブラジル鉱業大手バーレといった、同地域の大手企業の収入増につながる。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスの中南米企業についての試算によれば、手元現金量は昨年、短期債務の2倍弱だったが、足元で2.4倍前後に増えている。また多少の例外があるとはいえ、ほとんどの企業ではドル建て収入とドル建て負債の大幅なかい離は解消されている。

ただ固有のカントリーリスクは残っている。例えばチリは国民投票の結果、新憲法を制定しようとしている。ペルーでは11月に大統領が2人、1週間たらずのうちに立て続けに辞任した。フィッチは中南米諸国のおよそ半分について、格下げ含みの「ウオッチネガティブ」に指定している。これは国家と関係が深いコロンビア石油公社エコペトロールなどの企業にとって、圧迫要因になる。

それでも米国や欧州の債券利回りが余りに低い以上、投資家にとって中南米社債が提示するリターンは手を出したくなる魅力がある。ICEバンク・オブ・アメリカ指数に基づく中南米社債と米国債の利回りスプレッドは3月以降でおよそ60%縮小して今月半ばには370ベーシスポイント(bp)前後となったが、それでもなお、平均スプレッドは新興国市場の中では最も大きい。これは投資家がリスクを引き受けるのに見合うだけのリターンなのかもしれない。

●背景となるニュース

*S&Pグローバル・レーティングの格付け対象となっている中南米企業のうち、今年1月1日から5月4日の期間にデフォルトを起こしたのは3社だったが、6月初めまでに計9社に増加した。

*ブラジル国家統計局が3日発表した第3・四半期の前期比成長率はプラス7.7%だった。第2・四半期はマイナス9.6%だった。

*メキシコの第3・四半期と第2・四半期の季節調整済み前期比成長率はそれぞれプラス12.1%とマイナス約17%。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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