September 29, 2019 / 5:12 AM / 2 months ago

コラム:アリババ、新興企業目線でのアピールはもはや通用せず

[香港 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ハイテク企業はいつか過去と決別すべき時期を迎える。だがアリババ集団(BABA.N)は、武衛(マギー・ウー)最高財務責任者(CFO)が今週の投資家との会合で古臭い企業評価の尺度を持ち出してきたところを見ると、過去を切り離すのに苦労しているようだ。こうした手法を当てはめるには、アリババはあまりにも大きくなり、設立からの年月も経過し過ぎた。

 9月26日、伝統的な分析方法に基づけば、アリババは既にアマゾンと同等の価値を持っており、両社の株価とも予想EBITDA(利払い・税・償却前利益)の31倍で取引されている。写真はアリババ本社ビル。6月29日、北京で撮影(2019年 ロイター/提供写真)

いくつかの面では、アリババの視線は将来にきっちりと据えられている。張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は、集まった600人前後の投資家に対して、102年間成長を続けるという同社の計画や、ライバルが入ってくる前に自分たちの事業を手じまう方法を考え出す重要性を忘れないよう念を押した。ところが、企業評価の面では途端に時代に逆行してしまうようだ。

武衛氏は投資家への説明の最後に、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)の時価総額8600億ドルの半分は電子商取引がもたらしており、この部門のクラウドサービスを除く顧客数が約4億人とすれば、1人当たりが1000ドル強を生み出しているとの試算を提示した。その上で、これをアリババが抱える年間アクティブユーザー8億6000万人に当てはめて考えると、同社の価値は現在の4500億ドルの2倍、つまり9000億ドル前後になると述べたのだ。この評価額には、傘下の金融サービス企業アント・ファイナンシャルの株式33%の取得など、電子商取引以外の事業は含まれていない。

こうした試算は聴衆から拍手喝采を浴びたものの、思い出されるのはアリババが創業した1999年にシリコンバレーで人気になり、赤字の新興企業を評価する際に使われたやり方だ。ただアリババのように、誕生から20年にもなって黒字を計上している企業には、普通の尺度を適用する方が適切と言える。

そして伝統的な分析方法に基づけば、アリババは既にアマゾンと同等の価値を持っており、両社の株価とも予想EBITDA(利払い・税・償却前利益)の31倍で取引されている。もしアリババが、それほど重視されていない要素を強調したいと思ったなら、売上高伸び率の加速や利益率の上昇に言及した方が妥当性があった。もっともその結果として、アリババの評価が劇的に高まることはなかったかもしれない。

アリババがそんな非現実的な分析を行使してきた理由の1つは、恐らく米中貿易摩擦だろう。首脳陣が米中摩擦は同社にとってプラスだといくら請け合っても、株価の不安定さは解消されていない。さらに大事なのは香港において計画している重複上場で、投資家がバリュエーションが高まることにまだ納得していないのかもしれない。しかし投資家は、アリババが自己防衛のために行っている過剰な宣伝は無視するのが賢明だろう。

●背景となるニュース

*アリババの張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は24日の投資家との会合で、今後5年で年間アクティブユーザーの10億人と、中国の消費者事業での総取引額10兆元(1兆4000億ドル)の突破を目指すと表明した。

*アリババは同日、傘下の金融サービス会社アント・ファイナンシャルの33%株式の取得を承認したことも明らかにした。これに伴ってアントはアリババに税引き前利益の37.5%を支払うのを取りやめる。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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