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コラム

コラム:アント、調達額は企業価値2000億ドル超えか 香港と上海で上場へ

[香港 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国電子商取引の最大手アリババ・グループBABA.N9988.HK傘下の金融技術会社アント・グループは25日、香港と上海での重複上場を申請した。アントの企業価値は2000億ドルともみられているが、同社は株式公開で、これを大きく上回る資金をのみ込むことになるかもしれない。調達額は世界でも最大級になる可能性がある。

 8月25日、中国電子商取引の最大手アリババ・グループ傘下の金融技術会社アント・グループは、香港と上海での重複上場を申請した。アントの企業価値は2000億ドルともみられているが、同社は株式公開で、これを大きく上回る資金をのみ込むことになるかもしれない。写真はアリペイのロゴ。上海で2017年1月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

公開目論見書からは、中国の発展するオンライン決済市場でのアントの影響力が確認できる。今年6月までの1年間で見ると、同社の決済アプリ「支付宝(アリペイ)」の月次アクティブユーザー数は7億人を超え、1年間の取扱額は総額17兆ドルだった。この売上高は、主に取引業者に請求する手数料の収入が中心だが、今年上半期で260億元(37億6000万ドル)に達した。

ただ、こうした電子決済サービスがアントの総売上高に占める比率は、実は3分の1強にすぎない。残りのほとんどは、まさに中国版フィンテックからもたらされている。アリペイがアクセスを提供する中小零細企業向けローン、消費者融資、マネー・マーケット・ファンド(MMF)やその他の投資商品、医療保険等々だ。

アリペイはこれを、自らは信用リスクや商品に関わるリスクを負わない形で展開している。リスクを負うのは商業銀行、保険会社、資産運用会社などの「パートナー」だ。彼らはアリペイへの客のアクセスに対して金を払い、同時にアントの人工知能(AI)やリスク評価などのサービス技術に金を払う格好だ。こうしたサービスは極めて価値がある。それは同社の今年上半期の営業利益率34.3%が証明する。

アントの事業は既に巨大だが、中国の経済成長のおかげで、アントが食い付く「余地」はまだ少なくない。中国の潜在的な個人投資資産の規模がその一例だ。アントによると、こうした資産は中国で2025年までに総額287兆元(41兆5200億ドル)と、19年から79%膨らむと見込まれている。

こうしたアントのユニークな価値を計るのは難しい。ただ、米国の同業のペイパルPYPL.OやビザV.N、マスターカードMA.Nの今年の利益予想に基づく平均株価収益率(PER)が49倍であることを援用すれば、アントの今年上半期利益を基に試算すると、同社の上場時の時価総額は3000億ドル超ということにもなる。これはロイターが関係者の話として報じた企業価値の見込み2000億ドル前後を優に上回る。市場に供給される株数が限られていることや、熱狂的な中国の個人投資家の殺到を考え合わせると、実際にはさらに金額が膨らむかもしれない。

熱狂してしまう人はしばしばリスク要因を見過ごしがちだ。例えば規制面や金融面などのリスクだ。ただ、これについてはアントの674ページに及ぶ目論見書の10分の1弱を割いて言及がされている。アントの入り組んだ株式保有構造や親会社アリババとの関係も懸念要因ではある。そうであってもなお、人々がアントを欲しがる理由はたくさんある。

●背景となるニュース

*中国の電子決済サービス「アリペイ」の運営会社アント・グループが25日に提出した目論見書によると、同社香港と上海の株式市場での重複上場を申請した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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