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コラム

コラム:豪政権交代、気候変動対策は大きく前進か

[メルボルン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - オーストラリアがついに「気候変動対策が遅い国」という汚名を返上する方向に動き始めた。2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すという消極的な目標を昨年まとめた与党、保守連合が21日の総選挙で大敗を喫したためだ。与党は下院で議席の約3分の1を失う情勢。オーストラリアは国民1人当たりの温室効果ガス排出量が先進国中で最も大きい国だが、排出量削減目標を大幅に改善する可能性が開かれた。

 オーストラリアがついに「気候変動対策が遅い国」という汚名を返上する方向に動き始めた。写真は新首相に就任した労働党のアルバニージー党首。シドニーで21日撮影(2022年 ロイター/Jaimi Joy)

新首相に就任した労働党のアルバニージー党首にとって、温室効果ガス削減目標で保守連合の上を行くのはたやすいことだった。保守連合は2005年を起点とした2030年までの削減率をわずか28%とする目標を立てたのに対し、労働党は43%を掲げている。

もっともこの数字は、労働党が3年前の選挙で約束した削減率より2ポイント低く、既にこれに近い目標を立てている州もある。労働党は電気自動車(EV)への支援を強化し、2030年までに全電源に占める再生可能エネルギーの割合を最低80%とする狙いだが、炭鉱の新規開発や拡大は認める方針だ。

有権者は、アルバニージー新首相の慢心を戒めるメッセージも送った。第1に、労働党の得票率は32%で、さほどぱっとしない。第2に、保守連合が失った議席の約5分の2は、気候変動対策への意識が高い無所属の候補者らに回った。保守連合の自由党の牙城とされる裕福な都市近郊でこうした候補が勝ったことは、労働党に強いメッセージを送るはずだ。

しかも上院では、保守連合が過半数には届かないものの最大勢力を保つ見通しで、労働党は緑の党の協力を仰ぐ必要が出てくるだろう。緑の党は上下両院で議席を伸ばした。

総合すると、今回の選挙結果は、より野心的な温室効果ガス削減政策へとつながりそうだ。外国人投資家は持続可能性を重視するようになっており、このニュースを歓迎するだろう。ただ、2030年までの削減目標を巡る議論を今さら焼き直す必要はない。パリ協定の次のステップは、2035年までの削減率をさらに高めるための努力だ。国内でも、労働党が主導するビクトリア州などが既にその作業を進めている。国家としてこの取り組みを採用すれば、オーストラリアは気候変動対策の劣等国から指導国へと駆け上れる可能性さえある。

●背景となるニュース

*オーストラリアでは23日、労働党のアルバニージー党首が第31代首相に就任した。同党は21日の総選挙で保守連合を破った。

*下院の開票では、定数151議席中14議席の勝敗が未定の段階で、労働党が73議席、保守連合が52議席、緑の党が2議席を獲得。また、気候変動対策を最優先課題に掲げる環境連合「ティール無所属」が9議席を獲得した。9議席はすべて、保守連合を形成する自由党の現職議員から奪ったもの。労働党が単独過半数を制するには76議席を獲得する必要がある。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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