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コラム

コラム:日本株の「割安のわな」から抜け出すバフェット氏

 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株の「バリュートラップ(割安のわな)」にはまりつつあるとの懸念は行き過ぎのように思える。写真は2019年5月、ネブラスカ州オマハで撮影(2023年 ロイター/Scott Morgan)

[香港 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は11日、日本経済新聞とのインタビューで、自身が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが日本の5大商社株の保有比率を高めたと明らかにした。

バークシャーは2020年8月に5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事)の株式各5%を取得したと発表。それ以降、日本の超低金利を利用して着実に日本への投資を増やしている。

リフィニティブのデータによると、バークシャーの円建て社債の発行残高は80億ドル近く。平均利率は1%だ。

バフェット氏が日本株の「バリュートラップ(割安のわな)」にはまりつつあるとの懸念は行き過ぎのように思える。世界的な金利上昇やハイテク株バブルの崩壊で、バフェット氏が好む退屈だが堅実な企業に資金が回帰しているためだ。

5大商社は資源から小売り、ヘルスケアまでさまざな事業に関与する複合企業で、バフェット氏が株式取得を公表して以降、円建てのトータルリターンは平均127%と、TOPIX(東証株価指数)の25%を大幅に上回っている。

バフェット氏は、5大商社自体がバークシャーのような投資会社であることを踏まえ、事業上のつながりを持つ考えを示唆。日本株に追加投資する可能性も示した。バークシャーは恐らくそうした目的のために、円建て社債の発行を準備しているのだろう。

日本の株式市場には、割安のまま放置された複合企業がまだ多い。日本株投資でやけどを負ったヘッジファンドやアクティビスト投資家もバフェット氏の次の動きに注目するかもしれない。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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