April 30, 2020 / 3:00 AM / 25 days ago

コラム:各国の中央銀行にまだ政策余地、政治介入は信認損なう

[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 物事には必ず終わりがあるが、どうやら中央銀行当局者の創意工夫は例外のようだ。新型コロナウイルスに痛めつけられた経済が回復するには大規模な支援が必要で、今後さらなる落ち込みは避けられない。そこで金融政策の大立者たちは、成長をてこ入れするための新しい方法を編み出し続けるだろう。

さらなる資産の買い入れや、日銀が実施しているイールドカーブコントロールの導入など、各国の中央銀行には落ち込む経済を支える政策余地がまだある。写真は欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁(左、撮影当時はIMF専務理事)と日銀の黒田総裁。2016年10月、ワシントンで開かれたIMF・世界銀行の年次総会で撮影(2020年 ロイター/Yuri Gripas)

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長とイングランド銀行(英中央銀行、BOE)のベイリー総裁はこれまで、欧州中央銀行(ECB)が既に導入しているマイナス金利の採用をことさら拒否してきた。だがそれが必要となれば、最終的には自らの嫌悪感を克服するかもしれない。日銀の黒田東彦総裁が打ち出した、長期金利を操作目標とするイールドカーブ・コントロールを、他の中銀が模倣する可能性もある。

また各中銀には、資産買い入れを大幅に拡充するという選択肢がある。先駆者たる日銀はバランスシートが日本の国内総生産(GDP)を上回る規模となっていてもなお、27日、黒田氏が国債の無制限購入を表明した。

中銀は、ある特定の資産を買い過ぎてしまった場合は、別の資産を買うこともできる。パウエル氏は既に社債を買い入れており、ジャンク債の上場投資信託(ETF)も購入対象に含めつつある。となれば次の段階は、日銀が実施済みの株式ETFの買い入れだ。

中銀にとって最後のタブー(禁忌)は、直接的な財政ファイナンスになるだろう。ECBは、社債を流通市場だけでなく、発行市場でも購入できる。だが主要中銀はこれまで、発行された政府債を直接に引き受けることは手控え、独立性と信認を守ってきた。

それでも中銀があらゆる市場をまたいで動けば動くほど、その境界線はあいまいになる。例えば3月11日にBOEが予想外の利下げに踏み切った数時間後に、スナク英財務相が財政刺激策を発表したのは、明らかに歩調を合わせた行動だった。

さらに主要中銀は、政治家が経済を支えるため巨額の財政支出に傾く局面で、大規模な資産買い入れに乗り出して利回り上昇を抑えてきた。

今後全面的な不況が到来しただけでは、中銀が「最後の一線」を越えることはないかもしれないが、当局者らは最近、その一線自体を遠くに押しやろうとする姿勢を明確に示している。

ただし、中銀に方針転換を迫る恐れがある要素が2つ存在する。1つ目は突然、物価上昇圧力が高まる事態だ。そうなれば、特に物価安定のみを使命とする中銀なら、緩和の大盤振る舞いを考え直さざるを得ない。物価は足元で問題になっていないが、将来は問題化するかもしれない。2つ目は、政治家が金融政策に公然と介入し、中銀の信認が損なわれかねなくなる局面だ。いったん失った投資家の信頼を取り戻すのは難しい。だからパウエル氏や他の中銀トップに政治家があれこれ注文を出し過ぎれば、政治家は最後にはかえって彼らの抵抗に直面するのではないか。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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