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コラム

コラム:中国GDP、たとえ「嘘」でも不十分

[北京 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の経済統計を巡っては、でっち上げとの批判があるかもしれないが、安心できるほど嘘で固められているともいいがたい。

 1月20日、中国の経済統計を巡っては、でっち上げとの批判があるかもしれないが、安心できるほど嘘で固められているともいいがたい。写真は上海のビル群と人々(2017年 ロイター/Jason Lee)

中国国家統計局が20日発表した第4・四半期国内総生産(GDP)の伸びは、直近数四半期と不気味なほど一致。2016年通年の成長率は政府目標レンジのちょうど真ん中に収まった。

数日前には、遼寧省で経済統計の水増しが発覚。

中国では統計データの水増しがまん延しているため、中央政府当局者にでさえ、GDP統計を有益な情報というよりも政策シグナルとみなす姿が見受けられる。

李克強首相は遼寧省の党書記だった当時、GDPデータを無視し、これに代わる経済指標として鉄道貨物量や電力消費、銀行融資に注目していた。ただ、「李克強指数」と呼ばれるこの指標は重工業に着目しており、現在の中国が構築を目指す「新経済」ではない。

中国政府は長期経済計画で、投資集約型産業からサービス業やハイテク産業における「新たな成長エンジン」への構造改革を目指している。固定資産投資への依存度を減らしつつ、雇用の安定を図る計画だ。

その場合、GDPは自然に鈍化することになる。ただ、2016年はこの構造改革という面ではほとんど進展はなく、2017年も同様の状況が予想される。

中国指導部は2017年の経済成長率目標を6.5%程度とし、昨年目標(6.5─7%)から引き下げる方針と伝えられているが、それは高すぎる。

結局のところ、中国の政策当局者はいまだに旧ソ連型の成長目標に固執している。

政府は今週、西部の新疆ウイグル自治区で道路建設に約250億ドルを投じる計画を発表。鉄道や空港への投資も大幅に増やすとした。これらの投資がGDPの伸びに寄与することは間違いないが、こうしたプロジェクトが過疎地域にとって不要であることは懸念すべきだろう。

当局者がこの成長モデルにこだわるかぎり、中国は不要なプロジェクトや重工業への過剰投資を続け、銀行の債務を拡大させ、環境汚染をさらに深刻化させることになる。

このような投資へのリターンは低下している。CLSAの資産では現在、1元のGDPを生み出すために6元が必要。2008年時点では、GDPの費用対効果は大体1対1だった。

生産性の低い投資の増加は中国の将来への真の脅威だ。同国のGDP目標が問題の大部分を占めており、GDPを生み出すために非生産的な投資が繰り返されているのがこの国の現実だ。

●背景となるニュース

・中国第4四半期GDPは予想上回る、16年成長率は6.7%[nL4N1FA1L7]

・中国GDPの推移 tmsnrt.rs/1PFmwVG

・主要国の民間債務の対GDP比率 reut.rs/2iZwTxn

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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