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コラム

コラム:外資系銀行の中国ハネムーン、「共同富裕」で終焉

[香港 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国でのビジネスがようやく軌道に乗ったと思っていた外資系銀行は、もうしばらく待つ必要がありそうだ。中国の証券規制当局は、クレディ・スイスの中国担当最高経営責任者(CEO)のジャニス・フー氏らを呼び、高額な役員報酬の引き下げやボーナス期間の先送りを求めたとブルームバーグが匿名の情報筋の話として報じた。不当に高い報酬は習近平国家主席が推進する格差是正の取り組み「共同富裕」を妨げるというのが理由で、一見公平を期す話と思えるが、実際は国内銀行の外資に対する優位性を高めるだけだろう。

 中国でのビジネスがようやく軌道に乗ったと思っていた外資系銀行は、もうしばらく待つ必要がありそうだ。写真は上海で2019年3月撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

米中貿易戦争の間、中国政府はウォール街に大いに譲歩した。中国合弁事業の経営権取得を認め、2018年にUBSが第一号となった。上海と深センで新規株式公開(IPO)が急増したおかげで、認可された欧米系合弁投資銀行7社中6社が2021年に本土事業で利益を上げたと英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先月報じた。

ただこうした事例は依然少数派だ。公式データによると、2021年第1・四半期の外資系金融機関41社の純利益の合計は全体の1%に過ぎない。報道された当局の動きは、外資系が制約を受け続ける見通しを裏付ける。国際展開する投資銀行は、中国企業の香港やニューヨークでのIPO案件による収益に依存していた。しかし現在はそのような動きがなくなり、勝負の土俵は国内勢が支配する本土取引所しかない。

報酬の格差がどの程度あるのか、公式なデータはない。ブルームバーグの推計では、外資系証券の平均給与は国内同業より10%から20%高いとされる。これは必要な処置で寛大という話ではない。他国の幹部を中国に赴任させるには多くのインセンティブが必要だったが、この数カ月のロックダウン(都市封鎖)でそれが劇的に難しくなった。UBS、JPモルガン、クレディ・スイスではすでに4月の厳しい行動制限下で上級幹部の離職が起こっている。

現地の人材にとって外資の魅力は低下している。復旦大学の調査によると、大卒者が国際企業で働きたいと思う割合は15年の36%から20年は14%に低下した。

小さなパイを競うには優秀な人材が必要で、それにはより高い報酬が必要になる。そうしなければ、中国本土市場でウォール街のシェアは一段と縮小する可能性がある。

●背景となるニュース

*ブルームバーグは6月12日、中国証券監督管理委員会(証監会)が今年に入り上海と北京で外資系銀行の幹部を呼び、報酬について討議したと報じた。会議にはクレディ・スイスやゴールドマンの現地幹部らが出席し、特に上級管理職の報酬を習近平主席の「共同富裕(ともに豊かになる)」政策に沿ったものにするよう指示されたとされる。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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