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コラム

コラム:整合性に欠ける中国経済運営方針、習氏への忖度で混乱も

[香港 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の習近平国家主席が来年に向けて提示した経済運営の大方針は、政策を実行する現場当局者にとって、困惑の種になりつつある。来年10月に予定されている主要な共産党指導部刷新を前に、経済の安定が損なわれるのを懸念した習氏は、ハイテクやその他産業の締め付けにブレーキをかけたがっている。

中国の習近平国家主席が来年に向けて提示した経済運営の大方針は、政策を実行する現場当局者にとって、困惑の種になりつつある。写真は11月、スクリーンに映った習主席。中国国際輸入博覧会でビデオを通じて演説した。上海で撮影(2021年 ロイター/Andrew Galbraith)

エネルギー移行の取り組みは緩めつつ、インフラを拡充しようという考えだ。だが、他のルールを変えないままでは、全体の釣り合いを取るのが難しい。

今年は独占禁止政策からデータ管理、不動産までさまざまな新ルールが導入され、中国のインターネット関連企業などが打撃を受けた。

これらの企業の多くは、ニューヨークに上場している。そのためナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は、年初来で40%近くも下落。電子商取引大手・アリババ1社だけで、時価総額が2020年のピークから5000億ドルも減少した。

今月に入ると、不動産開発大手の中国恒大集団がとうとう公式のデフォルト(債務不履行)に陥った。

ところが、習氏は中国共産党が8─10日に開いた中央経済工作会議で、経済成長を重視する姿勢に戻り、過剰に厳しい政策を緩和すべき時期が来たとの姿勢を明確に打ち出した。

同会議は、翌年の経済的な重要課題を設定する目的で開催されている。注目すべきは、こうした姿勢の対象に石炭セクターが含まれていることだ。地方政府は温室効果ガス排出量削減目標達成のため、石炭生産を減らしてきた。その結果、石炭不足によって中国は今年、全国的なエネルギー危機に見舞われた。

習氏は、中国が需要縮小、供給制約、市場の先行きに対する自信の弱まりという3つの重圧に直面していることを指摘。この中央工作会議を利用して、習氏の長期的構想と短期的な優先項目をしばしば誤解して「混とんをもたらす政策決定」を慎むよう当局者を戒めた。

もっとも、習氏は例えば不動産の分野で、政策の方向を180度転換しようとしているわけではない。中央経済工作会議では「住宅は投機のためにあるのではない」と改めて指摘された。

また、習氏は地方政府に対して、過去1年間にわたって停滞していたインフラ整備資金に充てる債券発行を急ぐよう指示した。中央政府はできるだけ早くインフラを拡充する必要がある。

ただし、今年1─10月のインフラ投資が前年同期比でわずか1%の増加にとどまったのは、それなりの理由がある。中央政府は地方政府の債務状況について、かつてないほど厳しく監視してきた。

また、高速道路料金以外に十分なリターンが得られる公共投資を見つけるのは困難だ。中央経済工作会議が、政府債務の管理を強調したことで、インフラ整備のハードルは下がっていないと言える。

一方で、習氏は今年に入って教育事業をはじめ中国の産業界全体を苦しめた、独占や「向こう見ずな資本拡大」の取り締まりについて、強化する必要があると主張している。

とはいえ、共産党にとって好ましい振る舞いをする企業は、活動を制約しないという「交通信号」も設ける。

これでは混乱を招くあらゆる条件がそろっていることになり、習氏の大方針にうまく従おうとする当局者は、綱渡りを強いられ続けることになる。

●背景となるニュース

*中国共産党指導部は8─10日に年次中央経済工作会議を開催。新華社が伝えた10日付の公式声明で、さまざまな優先すべき経済上の項目が具体的に提示された。

*公式声明は、中国経済が「需要縮小と供給ショック、先行き期待の弱まりという3つの重圧に直面している」と指摘。反独占禁止の取り組みを強化するが、資本が持つプラスの役割は全力で発揮させ、監督態勢の改善に向けて「交通信号」を設置するという。

*指導部は「住宅は住むためにあり、投機が目的ではない」と繰り返した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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