May 21, 2019 / 4:52 AM / 4 months ago

コラム:「かつてなく重要」な欧州議会選、各国政治と相互作用

[パリ 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 一般の多くの人々は、欧州連合(EU)がなぜ成立したのか、特になぜ「より欧州的」になる必要があるのかはっきり分からなくなっているようだ。そして23─26日の欧州議会選は、恐らくこれまでで初めてこの問題に取り組む機会になるとの見方が大勢だ。だから今回は、従来のように単なる加盟各国政府の支持率が反映されるというよりも、EUの将来像を踏まえた選挙になる。

 5月20日、一般の多くの人々は、欧州連合(EU)がなぜ成立したのか、特になぜ「より欧州的」になる必要があるのかはっきり分からなくなっているようだ。写真はウィーンで国家主義に反対するデモに参加する人々(2019年 ロイター/Lisi Niesner)

欧州議会選は、既にEUとその方向性を巡る本格的な議論を巻き起こしている。親欧州の政党は統合深化が必要だと考える理由の説明を求められており、各国の主権をもっと尊重すべきだというグループは今後、自分たちの構想と具体的な実現方法を詳しく示さなければならない。何しろ今までは、各国の政治と欧州問題の間にはほとんど相互作用がなかったのだ。

さまざまな国のさまざまな政党は欧州議会の会派とつながりを持つとともに、新たな合従連衡が提案され、新議会では各勢力の大きな再編が実現する公算が大きい。また国政選挙はスロバキアやフィンランドといった比較的小さな国であっても、イタリア南部や英国などの地方選とともに、欧州中の関心を集めつつある。これらの地域の選挙が欧州全体の反EU勢力が躍進するか退潮に陥るかを占う要素になるためで、あたかも欧州の行く末を左右するかのようだ。

欧州議会選の結果により、EU欧州委員長やEU大統領が決まるのはいつもと同じだが、今回はそうしたトップ人事が欧州中央銀行(ECB)の次期総裁選びに影響を及ぼす。現在のドラギ総裁は10月に退任する予定だ。

もっともECBは独立的で、ユーロ圏の財政政策も欧州委に監視されるとはいえ、実行するのは加盟各国政府だ。従って各国の主権強化を望む勢力が議席を増やしても、資産価格を動揺させることはない。欧州議会の分断化が進みそうなことは既に明白となっており、市場は織り込み済みだ。反EU派がEUの意思決定を阻止できるほどの議席を獲得すれば話は違ってくるが、そうなる公算は極めて乏しい。

それよりも投資家が今回の選挙を非常に気にしているのは、結果がとりわけ連立の基盤が不安定な国の政治情勢を動かすきっかけになり得るからだ。例えば連立政権内部の緊張が高まっているイタリアを取り上げると、欧州議会選を受けて連立の構成が変わるか、新政権樹立につながるかもしれないとの予想が多い。同国政府は来年度予算案に場合によっては230億ユーロ強規模の付加価値税(VAT)増税を盛り込む形で議会承認を得るという難題も片付けなければならない。市場がこうした面に注目し始めたため、イタリア国債の対ドイツ国債利回りスプレッドは最近になってまた拡大している。

さらに予測が困難なのは、欧州議会選が英国政治に与える影響だ。英国では一国の議題としてブレグジット(英のEU離脱)問題がますます主役の座を占めるようになっており、既成政党への支持が減って政治勢力の細分化が進んでいる。

投資家は英国がおおむね秩序を保って10月末ないしその後にEUを離脱すると想定しており、何の合意もなく離脱するような混乱が生じる展開は現実に起きると現状では考えていない。こうした合意なき離脱は、欧州議会選後に脚光を浴びるテールリスクになるのではないか。

*筆者は資産運用会社ミューズニッチの経済・資本市場戦略責任者で、 「Reuters Breakingviews」の客員コラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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