October 31, 2019 / 12:54 AM / 12 days ago

コラム:FRB連続利下げ、経済情勢とそぐわず 市場動向依存にリスク

[ニューヨーク 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金融市場の動揺を防ぐために実施する利下げ、つまり「パウエル・プット」は、むしろ「パウエル・パント」と改称するべきだろう。パントとは、アメリカンフットボールで十分に前進できなかったために攻撃権を手放す際に行うキックだ。

市場参加者は30日、追加利下げという望み通りの結果を手に入れた。だがS&P総合500種は今週、終値ベースの過去最高値を更新し、米経済は目を見張るほどではないにしてもしっかりした足取りで推移、物価も上向きだ。その意味で、FRBがデータに基づいていると明言する政策運営方針は、実際には市場の動きにどっぷりと依存している側面がより目立っている。

同日発表された第3・四半期の米国内総生産(GDP)は、年率1.9%増で、特筆するほどの強さでないとはいえ、多くのエコノミストの予想は上回った。雇用情勢もそれほど悪くはなく、失業率は3.5%と引き続き50年来の低水準だ。11月1日には最新の雇用統計が発表されるが、今年これまでを見ると雇用増加ペースは鈍化しながらも着実さを持ち、大規模減税効果がなくなっても堅調な経済動向と一致する。

そしてインフレも、反論はあるだろうが、まだ消えてしまったわけではない。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)物価指数は第3・四半期の前年比上昇率が2.2%と、FRBが目標とする2%を超えた。これは持続しないかもしれなくても、足元では物価上昇率が適切な範囲の近くに収まっている。

9月は耐久財受注が打撃を受けたのは間違いない。しかし不振の多くの部分は、ボーイングの737MAX運航停止問題に帰せられる。企業投資の減少が成長率の足を引っ張ったとはいえ、その原因を貿易に関する不透明感というFRBに解決不能な要素以外に求めるのも難しい。一方でGDPの大半を占める個人消費は、底堅さを維持している。

米経済の成長軌道は、減税で加速した後の成熟段階に入りつつある。もっともこれは想定された事態だ。そこで1回の利下げであれば、保険とみなされるだろう。ところが3回連続なら、もはやトレンドの様相を帯びる。半面、データとそうした連続利下げに整合性はない。だからFRBが、金融市場が利下げを99%織り込んでいたから動いたのだとの勘ぐりが入りやすい。FOMC声明からは、将来の利下げを示唆する「適切に行動する」との文言が削除された。それでも市場にばかり目を向けていると、パウエル氏は政策運営の主導権を取り戻すのが難しくなるのではないか。

●背景となるニュース

*米連邦準備理事会(FRB)は30日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の誘導目標を1.50―1.75%に引き下げることを決めた。7月以降3会合連続の利下げ。一方、声明からは景気拡大を維持するために「適切に行動する」との文言は削除され、当面の利下げ休止を示唆した。

 10月30日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金融市場の動揺を防ぐために実施する利下げ、つまり「パウエル・プット」は、むしろ「パウエル・パント」と改称するべきだろう。写真はニューヨーク証券取引所のモニターに映るパウエル議長の会見の様子。10月30日、ニューヨーク市で撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

*米商務省経済分析局が30日発表した第3・四半期国内総生産(GDP)速報値は、年率1.9%増で、主に在庫復元や消費、政府支出が寄与した。企業投資は2期連続で減少した。第1・四半期と第2・四半期のGDPはそれぞれ3.1%増と2%増だった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below