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コラム

コラム:インフレ退治の代償、FRBの想定超えれば政治に「火中の栗」

[ニューヨーク 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)は、インフレを退治するための代償を具体的に描写して見せた。それは数年にわたるさえない経済成長と100万人余りの新たな失業者を発生させることだ。こうした事態が物価高騰を抑え込むのに必要な全てであるなら、甘受する価値があるコストと言える。ただFRBのパウエル議長の見立てが間違っている場合、そのツケはバイデン大統領と議会に回ってくる。

 9月21日、米連邦準備理事会(FRB)は、インフレを退治するための代償を具体的に描写して見せた。ホワイトハウスで20日撮影(2022年 ロイター/Jonathan Ernst)

FRBは21日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き上げるとともに、投資家の予想よりも高い水準まで利上げを進める展開があり得ると示唆した。FOMCメンバーが想定する来年の政策金利は最高で4.6%に達する可能性がある。一方アトランタ地区連銀によると、投資家が見込む政策金利のピークは4.4%前後だった。失業率は4.4%まで上昇、つまり失業者が130万人増加するかもしれない。

今のところFRBは、経済のハードランディングなしに物価安定を実現できると考えている。米国内総生産(GDP)成長率は7-9月期に0.2%まで下振れ、向こう1年でも1.2%と、FRBが長期的なすう勢とみなす2%よりずっと低い伸びにとどまってもおかしくないが、2024年末までには安定成長軌道に復すると予想されている。このような経済情勢では短期的に企業が打撃を受けるだろうし、既に一部の企業は景気鈍化のために青息吐息になっている。しかし景気低迷がずっと長引くよりはましだ。

過去の利上げサイクルに照らせば、現在のFRBは楽観的になっているか、悪いニュースを何とか穏やかに伝えようとしているかだ。そうだとしても、パウエル氏が成長下振れよりもインフレの方が害は大きいと発言しているのは正しい。失業は何百万人かを路頭に迷わせるとはいえ、物価高騰は国民全員が何らかの被害を受ける。米商工会議所の話では、中小企業の約半数はインフレが最大の試練だと訴えており、5月にピュー・リサーチ・センターが実施した調査で世論も同様の見方を示した。

さらに景気減速が持続的ダメージを与えるリスクも小さい。各銀行は、顧客の手元資金が今もなおコロナ禍前より多く、ローン延滞率はじりじりと上がっているものの、ペースは緩やかだと報告している。JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は下院公聴会で、金融業界は「ハードランディングでも難なく対応できる」と明言した。

パウエル氏は21日の会見で、痛みを伴わずに経済を立て直す道はないと認めた。その痛みが同氏の考えよりも大きくなるとすれば、「火中の栗」はバイデン氏と議会が拾わなければならない。彼らはこれから2年間を高まる失業率や厳しい経済情勢への対応で費やすことになる。FRBの思い切った利上げはインフレの息の根を止められるかもしれないが、その過程でこれまでの強力な味方を失う展開にもなり得る。

●背景となるニュース

*FRBは21日までのFOMCで、政策金利を75bp引き上げて3.00─3.25%にすることを決めた。75bpの利上げ幅は5月以降3回連続。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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