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コラム

コラム:「中国版モデルナ」探し、候補企業への投資過熱で高まるリスク

[香港 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国では、高い有効性が認められている米モデルナなどの新型コロナウイルスワクチンがまだ、承認されていない。このため国内で幾つものコピー製品が生まれる要因となっている。

 中国では、高い有効性が認められている米モデルナなどの新型コロナウイルスワクチンがまだ、承認されていない。このため国内で幾つものコピー製品が生まれる要因となっている。写真は北京にあるシノバック・バイオテックの施設で2020年9月撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)

投資家は「中国版モデルナ」候補を探しており、今のところ深セン上場企業の雲南沃森生物とその提携相手が開発しているワクチンが有望視されている。しかし、これらの企業評価は過熱しており、何かのきっかけで一変しかねない。投資家はショックで健康を損なわないよう注意が必要だ。

昨年12月時点で中国は、全人口14億人の80%余りがワクチン接種を完了した。科興控股生物技術(シノバック)や中国国家医薬集団(シノファーム)といった国内製薬企業にとって、これは素晴らしい功績と言える。

ただ、各種の研究結果から、そうした国産の「不活化ワクチン」は、モデルナやファイザー/ビオンテックのいわゆるメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンと比べ、効果が低いことが分かっている。

香港の研究者によると、シノバック製ワクチンを3回接種しても新変異株オミクロン株に対して十分なレベルの抗体が得られないと判明した。香港は5日に8カ国からの民間航空機の乗り入れ禁止などの感染対策強化を打ち出している。

中国政府は、西安市をはじめロックダウン(都市封鎖)を実施する都市が増えていくのに伴って、より有効な国産ワクチンを見つけ出す必要に迫られている。

その最有力候補は、雲南沃森生物と蘇州艾博生物科技が共同開発している「ARCoV」と呼ばれる製品だ。蘇州艾博生物科技は、モデルナで働いていた科学者が2019年に創設した研究機関。中国人民解放軍軍事科学院とつながりがあり、規制当局による迅速承認手続きの適用を受けてきた。ARCoVは現在、メキシコなどで臨床試験(治験)が行われており、早ければ年内に実用化される可能性がある。

投資家は既に「先物買い」に殺到。昨年11月には蘇州艾博生物科技がソフトバンクグループのビジョン・ファンドなどから60億ドル超の評価を受け、3億ドルを調達した。その3カ月前、シンガポール政府系投資会社・テマセクなどから7億2000万ドルを調達した時点から、評価額は45%も高まった形だ。

雲南沃森生物の株価も過去2年間で2倍になり、リフィニティブによると、向こう12カ月間の予想利益に基づく株価収益率(PER)は実に58倍と、中国の同業者の平均である22倍を大きく上回る水準に達している。モデルナとファイザーのPERは、10倍程度に過ぎない。

ARCoVには、有望な要素が数多くある。例えば、保存が比較的簡単で、この面でモデルナのワクチンより魅力が増すかもしれない。それでもリスクは大きい。ドイツのキュアバックは昨年6月、同社が開発していた新型コロナウイルスのmRNAワクチン候補の大規模治験結果で有効性が47%にとどまったと発表して以来、株価が80%急落した。

これはmRNA技術を手中に収めるのがいかに難しいかを思い起こさせる。投資家は、損失回避の「有効性」をもう少し確かめたいところではないだろうか。

●背景となるニュース

*中国人民解放軍系の研究機関、蘇州艾博生物科技と、雲南沃森生物が共同開発した新型コロナウイルスのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、ネパールとメキシコ、インドネシアで後期の臨床試験(治験)を開始する許可を取得した。このワクチンは、中国が研究開発しているmRNAワクチン候補で最も治験が進んだ段階にある。雲南沃森生物が公表した複数の声明でこう説明されている。

*蘇州艾博生物科技は11月29日付の微信(ウィーチャット)の公式アカウントに、ソフトバンクグループのビジョン・ファンドとアブダビ首長国の投資会社キメラ、幾つかのイニシャル・モデル・オファリング(IMO)専門ベンチャーなどが主導するグループから「シリーズCプラス・ラウンド」の資金調達を完了したと投稿した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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*コラムの内容は執筆時の情報に基づいています。

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