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コラム

コラム:FRB主要幹部、バイデン政権下で大幅変更も

[ワシントン 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長による半期議会証言は、国内雇用を最大限拡大させるという相変わらずのメッセージを発信しただけで、驚くような内容は見当たらなかった。だがFRBの主要幹部の構成については、この先かなりの変化が生じる可能性がある。

パウエル米FRB議長による半期議会証言は、国内雇用を最大限拡大させるという相変わらずのメッセージを発信しただけで、驚くような内容は見当たらなかった。だがFRBの主要幹部の構成については、この先かなりの変化が生じる可能性がある。写真はパウエル氏。2019年11月、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/James Lawler Duggan)

パウエル氏が引き続き2期目を務めるとしても、バイデン大統領には来年にかけて定員7人のFRB理事ポストのうち最大3つを意のままに人選するチャンスがある。もっとも新たに加わる理事も、FRBの任務範囲をささやかに広げるというパウエル氏の考え方を受け入れ、協調的に行動するのではないだろうか。

バイデン氏にとって重大な決断となるのは、パウエル氏を来年2月の任期終了以降も議長にとどめるかどうかだ。

14日の下院金融サービス委員会における公聴会では、共和党トップのマクヘンリー氏をはじめ同党の何人かの議員が、パウエル氏に向けて2期目を務めるにふさわしいとエールを送った。一方、他のFRB主要幹部では、ランダル・クオールズ氏の銀行監督副議長としての任期は今年10月、リチャード・クラリダ副議長の任期は来年1月に終了する予定。また7人の理事ポストのうち既に1つは空いている。

パウエル氏を議長に再指名するのは理にかなっている。FRBはコロナ禍にあって迅速かつ十分なスケールで対応したからだ。さらに女性や黒人、その他社会的に不利な立場にある人々に雇用拡大の裾野が広がるまで利上げを我慢するというパウエル氏の姿勢は、バイデン氏の考えとも一致する。ところがシエラ・クラブなど一部の左派系グループは、トランプ前大統領が任命したパウエル氏が気候変動や経済格差に十分取り組んでいないと不満を表明している。

もちろんこうした問題は、物価安定と雇用最大化を使命とするFRBが追求を義務付けられた目標ではない。とはいえバイデン氏は、パウエル氏以外の主要幹部を格差や女性の権利、人種差別などにより積極的に声を上げている候補者を起用するよう迫られている。政権内にはそうした人物として、所得格差問題の研究を専門とするジャレッド・バーンスタイン大統領経済諮問委員がいる。「アクシオス・オン・HBO」のインタビューで自分がFRB議長になればもっと身近な存在になると発言したアトランタ地区連銀のボスティック総裁は、米経済における人種間格差を強調してきた。

政権外の候補者としては、米労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)のチーフエコノミスト、ウィリアム・スプリッグス氏や、ミシガン州立大学のリサ・クック教授らが挙げられる。クック氏が選ばれた場合、FRB初の黒人女性理事となる。

FRBにとって主要幹部の考え方の幅が広いことが健全さにつながるのは間違いない。しかし各理事がどのような目標を定めるとしても、主な政策手段は金利の設定と資産買い入れであり、社会の特定集団に的を絞った効果を発揮するにはふさわしくない。だからこそ左派の人々はあまりむきになってはいけない。FRBがどこに影響力を及ぼし、どこに及ぼせないか改めて考えてみる価値はある。

●背景となるニュース

*パウエルFRB議長の半期議会証言は14日が下院、15日が上院の順になっている。パウエル氏の議長任期は来年2月まで。

*FRBのクオールズ銀行監督担当副議長は今年10月、クラリダ副議長は来年1月にそれぞれ任期が終わる。現在定員7人の理事ポストには空席もまだ1つある。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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