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コラム

コラム:GEの3分割、理論上は妥当だが問題は「有言実行」

[ニューヨーク 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のローレンス・カルプ最高経営責任者(CEO)は自らの経営スタイルについて「常識、それを強力に実行に移すことだ」と語ってきた。GEを3分割するというカルプ氏の計画は常識的な選択に見えるが、実行に移すのは遅くなった。

米ゼネラル・エレクトリック(GE)のカルプCEOは自らの経営スタイルについて「常識、それを強力に実行に移すことだ」と語ってきた。GEを3分割するというカルプ氏の計画は常識的な選択に見えるが、実行に移すのは遅くなった。写真は2017年3月、米インディアナ州ラファイエットにあるGEの工場で撮影(2021年 ロイター/Alwyn Scott)

GEが9日に発表した計画では、医療機器事業を2023年に、電力事業を24年にそれぞれ分社化する。この結果、GEの営業利益の半分以上を担う航空機エンジン事業が本体に残り、カルプ氏が経営を続ける。大きく手を広げていた1社が、それぞれに的を絞った3社に分割される格好だ。

これは、ジャック・ウェルチ氏やジェフ・イメルト氏など元CEOの下では考えられなかっただろう。しかしカルプ氏は既に3年にわたって経営効率化を進めてきた。その結果として理論上、現在のGEは分割すれば企業価値が高まる可能性がある。

GE自体の目標値で見ると、航空機エンジン事業は2023年までに60億ドルの営業利益を稼ぎ出す可能性がある。これにハネウェルやサフランなど同業他社の株価収益率(PER)を当てはめて計算すると、企業価値は1200億ドルとなる。

医療機器事業の企業価値評価は、営業利益を35億ドル、PERを独シーメンス・ヘルシニアーズ並みの25倍と想定した場合、900億ドル近い。

両事業の価値を合計しただけで2100億ドルとなり、GEの現在の企業価値である約1600億ドルを超えてしまう。ほとんど利益を出していない電力事業は度外視する。

8日時点で約1200億ドルだった株主価値(企業価値から負債価値を差し引いた値)が、この分だけ増えるとすると、過去数十年間アンダーパフォームを経験してきた株主は今後数年で40%以上の利益を得ることになる。

会社を分割すれば、将来の合従連衡にも道が開かれる可能性がある。20年前のGEとハネウェルとの合併計画は未遂に終わったが、理論上はいずれGEの航空機エンジン事業が標的となる形で両社の合併が成立する可能性はある。

東芝も8日、会社の3分割案を検討中と伝えられたが、背景にあるのは同じ理屈だ。理論上は、分割するのが「常識」にかなっている。しかし現実には、企業価値が目論見通りに増えるとは限らない。米ダウ・デュポンの3分割が失望を誘う結果になったことが、それを物語っている。

GE自身が障害になるかもしれない。同社は電球事業の売却に長年を要したり、純負債をEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の2.5倍に圧縮するという目標の達成が遅れたりと、目標実現に失敗する習性がある。純負債比率の目標はジョン・フラナリー前CEOが2020年までの達成を約束していたものだが、GEは今では2023年に達成するとしている。

フラナリー氏は医療機器事業の分離も約束しながら果たせなかった。投資家は、GEのCEOが約束を実行に移した時こそ喜ぶべきだろう。約束しただけでは印象が薄いことは、過去の言動が証明している。

●背景となるニュース

*GEは9日、会社を3つの上場企業に分割する計画を発表した。

*2023年に医療機器事業を、24年に電力事業をそれぞれ分社化し、本体には航空機エンジン事業が残る。

*分社化後、ローレンス・カルプCEOは引き続き航空機エンジン事業を率いるとともに、医療機器事業の非執行会長に就く。

*GEは2023年までに純負債をEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の2.5倍に圧縮する見通しを示している。純負債比率の圧縮はフラナリー前CEOが2018年に掲げた目標。フラナリー氏は医療機器事業の分離も計画していた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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