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コラム

コラム:ゴールドマン大幅増益、手放しで喜べないのが過去の教訓

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ゴールドマン・サックスの第1・四半期株主資本利益率(ROE)は30%を上回った。これは2009年第4・四半期以来の高水準だが、当時と今では取り巻く環境が非常に異なる。現在、銀行の安全性は高まり、米経済は危機後の落ち込みというよりは、新型コロナウイルスのパンデミックから立ち直ろうとしている局面だ。一方、依然として変わらないのは、思わぬ形でもたらされた恩恵はすぐ消えてしまいやすいという点だろう。

 ゴールドマン・サックスの第1・四半期株主資本利益率(ROE)は30%を上回った。これは2009年第4・四半期以来の高水準だが、当時と今では取り巻く環境が非常に異なる。写真は同社のロゴ。シドニーで2016年5月撮影(2021年 ロイター/David Gray)

ゴールドマンの第1・四半期業績の「はじけぶり」は想定以上だった。証券トレーディングを含めたグローバル市場部門が生み出した収入は76億ドルと、リフィニティブがまとめたアナリスト予想を50%も上回った。株式引き受け関連収入も過去最高の16億ドルだ。ライバルのJPモルガンも事情は同じで、株式・債券発行関連収入が64%、トレーディング収入が25%伸びた。

またゴールドマンのROEが31%に達したのは、分母部分が09年に比べてずっと大きくなっただけに、なおさら目を見張る水準といえる。09年時点で約640億ドルだった同社の株主資本は880億ドルに増加。規制当局が銀行の資本基盤を拡充し、先にヘッジファンドのアルケゴス・キャピタル・マネジメントが破綻したようなリスクを乗り切れる道筋を確保した。実際、ゴールドマンはアルケゴス問題をかすり傷1つさえ負わずに切り抜けた。

ただ際立って大きな収益は、09年がそうだったように一時的に終わる公算が大きく、経営陣もそれを認めないわけではない。ソロモン会長兼最高経営責任者(CEO)は、預金受け入れや融資といったもっと安定的な事業の強化を一貫して推進しようとしている。とはいえ第1・四半期の全収入のうち、ゴールドマンの事業として相対的に浮き沈みが大きい自己勘定のトレーディングと投資が占める割合は55%と、8年ぶりの高さになった。

問題は、地味だが着実な事業が足元で低調なことだ。JPモルガンも、トレーディングや引き受けによる稼ぎが巨大なリテール事業と同じぐらいあり、融資残高は前年同期比で4%減少した。ウェルズ・ファーゴの第1・四半期の融資残高も15%落ち込んだ。

だからこそ投資家ははしゃぎ過ぎてはいけない。09年末のゴールドマンの向こう12カ月でみた株価純資産倍率(PBR)は1.3倍で、ほぼ今と同じだ。JPモルガンのPBRはこの間に倍増した。トレーディングの活況はそれが持続している間は確かに素晴らしいが、いつまでも続かないことはこれまでの経験が教えてくれる。

●背景となるニュース

*ゴールドマン・サックスが14日発表した第1・四半期の株主資本利益率(ROE)は31%だった。トレーディングと引き受けの業務が好調で、利益を前年同期の11億ドルから67億ドルに押し上げた。

*マーケットメークからの利益は59億ドルと前年同期比で60%増加した。株式トレーディングの68%増が全体をけん引した。

*JPモルガンの第1・四半期利益は、前年同期比470%増の139億ドル。やはり株式トレーディングを含めた市場関連部門の堅調が貢献した。

*一方でJPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は、同社の融資部門について「厳しい」と表現。借り入れ需要が弱いことを理由に挙げた。融資残高は前年同期比4%減だった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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