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コラム

コラム:パンデミックの余波、米高等教育に異変

 大学生を主なターゲットとする企業に投資するなら、ラルフ・ローレンを好んで着るような名門大学を目印にするのが正解だ。写真は2015年11月、コネティカット州ニューヘイブンにあるイエール大学のキャンパスで撮影(2022年 ロイター/Shannon Stapleton)

[ニューヨーク 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 大学生を主なターゲットとする企業に投資するなら、ラルフ・ローレンを好んで着るような名門大学を目印にするのが正解だ。パンデミックが始まりキャンパスには人影が絶えたが、どの大学にも一斉に学生たちが戻ってきたわけではない。学生は一流名門校以外には魅力を感じなくなっており、学生数が回復しているのはいわゆる「アイビーリーグ」に限られている。イエール大学やハーバード大学は2022年も人気を集めるだろうが、高等教育における以前のトレンドが復活する方に賭けていた企業や投資家は再考を迫られている。

ナショナル・スチューデント・クリアリングハウスのデータによれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが始まって以来、学部レベルの大学生の在籍者数は約8%減少した。「カンタベリー物語」を収録した教科書のレンタルであれ、教室外での猛勉強の支援であれ、 米国内の大学生をターゲットとする企業は、回復の難しさを感じ始めている。教科書レンタルのチェッグや教育出版大手のピアソン、教育テクノロジー企業のコーセラといった企業は、いずれも2021年中、顧客である大学生の減少について、アナリストからの厳しい質問への対応に追われた。3社とも年間を通じて株価が低迷し、チェッグに至っては60%以上も下落した。

学生数のデータに関して最も恐ろしいのは、全体としての減少ではない。打撃を被っている大学がいかに広範囲にわたっているか、という点だ。パンデミックを理由とするロックダウンによる直接の影響として学生数が減少したのは、もっぱら2年制のコミュニティー・カレッジだった。多くは公立で、特定の職業に向けた資格を授与する、あるいは学士号取得に向けた大学編入につながる教育機関だ。だが学生減少の傾向は、今や大半の4年制大学にも広がっている。

「大半の」というのは、引き続き人気の高い一流難関校は例外という意味だ。大学教育が魅力的なのは、学位があればそれだけ高い所得が得られるからだ。だが労働経済研究所(IZA)が2018年に行った検証では、大学修了によって得られる賃金プレミアムは減少していた。また米セントルイス地区連邦準備銀行が発表した2019年の報告書でも、資産総額に対する学位の効果は、多くの人にとっては無視できる範囲だという結論が出ている。学生たちは、所得増大効果が最も高い超一流の名門大学に入れないのであれば大学に行く意味などない、と判断してしまったのかもしれない。

格差拡大が顕著になっている米国において、これは「持てる者」「持たざる者」の隔たりをさらに広げていくことになりかねない。実際、米国の企業社会では既に亀裂が生じている。あらゆる学生をターゲットとしている企業と、一流大学だけにフォーカスしている企業の違いに注目しよう。後者の例として、学生向け物件に特化した不動産を手掛けるアメリカン・キャンパス・コミュニティーズの株価は、2021年中に約30%上昇した。2022年、ウォール街で最も安全な投資先を選ぶ目印は、ポロシャツの襟立てとケーブルニット・セーターという典型的なアイビーリーグ・スタイルなのである。

(翻訳:エァクレーレン)

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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