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コラム

コラム:高騰続く水素関連株、「将来のアマゾン」株になるか

[ロンドン 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 足元の株式市場で水素燃料関連銘柄が、もてはやされている様子は、1999年のハイテク株投資ブームを彷彿(ほうふつ)させる。世界的な二酸化炭素(CO2)削減の取り組みで水素が大きな役割を果たすと期待されるため、水素生成会社の株はあたかもドット・コム・バブル崩壊以前のハイテク株を思わせるような取引になっているのだ。この分野での「将来のアマゾン・ドット・コム」たる有望株を探し出そうと必死になっている投資家には、少なくともそれなりの根拠がある。

 1月22日、足元の株式市場で水素燃料関連銘柄が、もてはやされている様子は、1999年のハイテク株投資ブームを彷彿(ほうふつ)させる。写真はスイス・ルツェルンで展示された現代(ヒュンダイ)自動車の水素燃料電池トラック。2020年10月撮影(2021年 ロイター/Denis Balibouse)

米燃料電池専門会社プラグ・パワーは2020年初以来で株価が20倍になり、現在の水準は今年予想される売上高の70倍近くに達している。ライバルの米ブルーム・エナジーとカナダのバラード・パワー・システムズ、英セレス・パワー、ノルウェーのネルはいずれも株価が4倍以上に上昇。英ITMパワーの株価は、来年見込まれる売上高の100倍を超える。

こうした熱狂は理解できるものだ。シンクタンクのエナジー・トランジションズ・コミッションの試算では、50年までに世界のエネルギーに占める水素の割合は現在のほぼゼロから15%まで高まる可能性がある。

もちろん投資家には当てが外れるリスクもある。今生成されている年間1500億ドル(約15兆5000億円)強相当の水素は大半が、水蒸気処理によって生み出される「グレー水素」。価格は1キロ当たり2ドル弱と安い半面、CO2を排出する。真に期待を集めているのは、再生可能エネルギー由来の電力を利用し水を電気分解することで生成される「グリーン水素」だ。しかし、この価格は急速に下がってきているものの、グレー水素に比べるとまだ高い。そこで、果たして一体いつ、グリーン水素がグレー水素より安くなるのだろうかという重大な疑問が出てくる。

知識に基づく推測をすることは可能だ。マッキンゼーは、化学や精製の分野と燃料電池トラック向けのグリーン水素の価格が、30年までにグレー水素並みになるとみている。鉄鉱石や鉄鋼の生産、家庭用暖房といった他の分野向けに同じ状況をもたらすにはもう少し時間がかかる見通しという。それでもマッキンゼーは、政府が割り当てているCO2排出枠価格を欧州の現取引水準の3倍相当のトン当たり100ドルにすることができれば、30年までには、そうした分野でもグリーン水素が競争力を得られるとも考えている。

つまり水素事業でのいわば生まれたてのアマゾンのような株は、ニッチではあるが極めて重要な電気分解製造分野にひそんでいるのかもしれないのだ。

ITMと競合関係にあるネルは21日、25年までにグリーン水素をキロ当たり1.5ドルで生成できるようになると表明した。この野心的な目標が、再生可能エネルギーを1メガワット時当たり20ドル程度、つまり現在の英国での洋上風力発電コストの半分足らずで利用できるのを前提としているのは確かだ。

しかし投資家や政府の関心がこれほど大きい以上、風力や太陽光と同様の劇的なコスト圧縮は可能だろう。その意味で、株価のバリュエーションが膨張している今の局面であっても、水素事業で「アマゾン化」する候補株に賭ける行動には合理性があるのかもしれない。

●背景となるニュース

*ノルウェーの再生可能エネルギー企業ネルは21日、二酸化炭素(CO2)を排出しない「グリーン水素」を2025年までに生成し、化石燃料エネルギー由来の水素に対抗できる価格で販売したいと表明した。

*ネルが設定した25年の目標価格は1キロ当たり1.5ドル。2019年は2.5-4.5ドルだった。ネルの株価は21日、1.5%値上がりした。

*英ITMパワーは13日、24メガワットの電解装置を産業ガス企業リンデに販売したと発表した。CO2フリーの水素生成に利用され、ITMによるとこの種の装置では世界最大規模となる。ITMの株価は13日に17%上昇した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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