for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:ルビコン渡るインドネシア中銀、国債引き受け周到に準備

[ムンバイ 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - インドネシア中銀が用意周到にタブーを犯そうとしている。同国中銀は政府が発行する国債400億ドルの一部を直接引き受ける計画だ。

 7月9日、インドネシア中銀は政府が発行する国債400億ドルの一部を直接引き受ける計画だ。写真は同銀のペリー・ワルジョ総裁。2月20日、ジャカルタで撮影(2020年 ロイター/Ajeng Dinar Ulfiana)

日米欧の中銀も、流通市場で大量の国債を買い入れているが、政府から直接国債を買い入れるのは、今なお禁じ手とされている。

ただ、新興国の先陣を切ってタブーを犯すインドネシアは、少なくとも用意周到に一線を超えようとしている。

インドネシア政府は確かに支援を必要としている。新型コロナウイルス対策に伴う歳出拡大で、今年の財政赤字は国内総生産(GDP)比で6%を超える見通しだ。

普段は多額の国債を購入してくれる海外投資家も、新興国国債の保有には慎重になってきている。

スリ・ムルヤニ財務相が今週概要を発表した「負担共有」計画の下で、中銀が政府を支援すれば、借り入れコストを抑えられるはずだ。

中銀は2通りの方法で政府を支援する。まずGDPの約2.5%に相当する280億ドルの新規国債を政府から直接引き受け、金利収入も政府に返還する。

さらに、入札で発行する新規国債120億ドルについては、財務省と中銀が共同で利払い費を負担する。ダイワ・キャピタル・マーケッツとバハナ証券の推計によれば、中銀が負担するコストは年間25億ドル前後だ。

こうした計画には、異例とは言えない側面もある。例えば、欧州中央銀行(ECB)は、流通市場で買い入れた国債の金利収入をユーロ加盟国に返還している。

インドネシアは、国債価格の透明性を保つ体制も整えている。中銀が買い入れる国債は、流通市場で取引可能とする計画で、中銀には国債を売却するという選択肢がある。長期国債を購入する投資家も、流通市場があれば、含み損が発生していないか確認することができる。

とはいえ、これで心配は無用だとは言い切れない。今回の計画は一回限りの措置とされているが、来年以降も延長されれば、中銀の独立性が問われかねない。インドネシアは新型コロナの感染者が多いホットスポットであり、ワクチンの開発には長い時間がかかる。今回の措置が延長される可能性は十分にある。

同じような問題を抱える新興国は、インドネシアの状況を注視するだろう。先進国が気づいているように、紙幣を刷る輪転機のスイッチを切るのは容易なことではない。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up