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コラム

コラム:インテル、時間稼ぎ狙った賭けに潜む落とし穴

[ニューヨーク 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米半導体大手インテルは、企業として目指す姿をこれから数年がかりで決めるという賭けに出ようとしている。同社は23日、最先端半導体を自社だけでなく同業者にも供給するため、生産拡大への投資を強化すると発表。台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子などライバルからの部品購入も増やすと表明した。

 米半導体大手インテルは、企業として目指す姿をこれから数年がかりで決めるという賭けに出ようとしている。写真は同社のロゴ。テルアビブ近郊で2019年12月撮影(2021年 ロイター/Amir Cohen)

確かにこうした賭けによって、半導体生産事業を続けながら、製造技術の課題を解決していく時間を稼ぐこともできる。だが、この間に他社とのさまざまな緊張関係にさらされるし、手元資金を消耗する羽目にもなるだろう。

新たに最高経営責任者(CEO)に就任したパット・ゲルシンガー氏は、1つの大きな問題を抱えている。製造過程の度重なる失敗がたたり、最先端半導体生産技術でTSMCに数年も先を越されているのだ。

そのため市場シェアをライバルのアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)に奪われる事態を招いた。インテルは、状況が改善しており2023年までには軌道に乗るはずだと強調する。しかし、当然ながらTSMCもじっと立ち止まっているわけではなく、恐らく23年までに、もっと小型で複雑な製品を完成させるだろう。

インテルがTSMCないしサムスンへの部品生産委託を拡大することは、短期的にはプラスに働いてもおかしくない。ばくち的な要素がもっと大きいのは、アリゾナ州に200億ドルを投じて最先端半導体の新工場を建設する計画だ。

そして、これは問題のほんの始まりに過ぎない。ほとんどの半導体メーカーは、設計は手掛けるが、自社では製品を生産していない。だからここで期待されるのは、彼らが生産の一部をインテルにも任せてくれることだ。

米政府が、最先端半導体生産でのアジアの優位性拡大を懸念している点も、追い風になるかもしれない。米議会は半導体の補助金を検討中で、これはインテルに提供される可能性があると同時に、各米企業に国内生産拡大の圧力をかけることになるかもしれない。

しかし、ここで幾つか難題が出てくる。インテルは部品調達をファウンドリ(半導体受託生産企業)に依存するとみられるが、インテルも受託生産事業に乗り出すという意味で、ファウンドリと競合関係が生じる。それなのに、ファウンドリがインテル向け生産を優先してくれるかどうかは分からない。

さらにAMDなどのメーカーが、軒並みインテルに生産を委託しようともしないだろう。例えばアップルとサムスンの場合、スマートフォン市場で競争相手となって以降は、アップルはサムスンからの半導体購入には及び腰だ。

他のメーカーにしても、将来に供給不足が発生した際に、インテルが自社の事業を第一に考え、彼らへの供給を後回しにするのではないかと警戒するだろう。

また、インテルが発表した投資額は決して少なくない。今年の設備投資は最大200億ドルを想定しており、フリーキャッシュフローは約100億ドルと、昨年の半分程度に目減りする見込みだ。こうしたさまざまな理由を踏まえると、インテルが設計部門を製造部門から切り離すという案も、最終的にはなお、検討の余地が残るのではないだろうか。

●背景となるニュース

*インテルは23日、最先端半導体の製造能力拡大を目指すと発表。アリゾナ州に200億ドルを投じて2つの新工場を建設するほか、米国と欧州の他の拠点でも増産に取り組む。自社向け製品だけでなく、他社からの受託生産も行う。

*ゲルシンガー新最高経営責任者(CEO)はロイターのインタビューで、これらの工場は最先端半導体の生産に専念すると説明するとともに、インテルは直近の製造技術に関する問題を完全に解決し、2023年に向けて「全システムが動き出す」と強調した。

*インテルによると、半導体の一部部品の増産についてはライバルの台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子などの受託生産事業に外注する。

*インテルは、継続事業からの年間売上高が720億ドルになる見通しで、設備投資は190億─200億ドルを想定していると述べた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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