for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:カザフの燃料高騰抗議デモ、欧州諸国にタイムリーな警鐘

[ロンドン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - カザフスタンの現状は、欧州諸国の指導者らにとってタイムリーな警鐘を鳴らしている。カザフでは自動車の主要燃料となる液化天然ガス(LPG)の価格上限が外されたことへの抗議デモが広がり、5日に内閣が総辞職する事態となった。カザフ特有の事情もあるとはいえ、欧州諸国にとっても他人事ではない。

 カザフスタンの現状は、欧州諸国の指導者らにとってタイムリーな警鐘を鳴らしている。写真はアルマトイで5日、LPG価格引き上げへの抗議デモが行われる中、警察車両が燃える様子(2022年 ロイター/Pavel Mikheyev)

一見したところ、今回の抗議デモは奇妙に映る。カザフは2020年の石油生産が日量180万バレル、天然ガス生産が320億立方メートルと、消費量を大幅に上回る国だからだ。ただ、LPGは長年、政府が補助を出して生産コスト以下の価格で売られてきたため、輸出を促す結果となり、国内で供給不足を招いた。従って、価格を引き上げて国内供給を増やそうという政府のアイデアは理屈にかなったものだったが、一部の国民にとってはエネルギー料金が2倍に跳ね上がった。

LPG価格引き上げへの抗議は文字通り、不満を大きく広げるための「燃料」となった。30年近く長期政権を敷き2019年に突如辞任したナザルバエフ前大統領はこれまで、トカエフ大統領への権力移譲を引き延ばしてきた。今回のことでトカエフ氏が実権を握る体制に変わり、同氏がLPG価格上限の復活と他の「社会的に重要な物資」の価格統制を命じたことで、状況は改善するかもしれない。ただ、マミン首相が率いてきた内閣にとっては「時すでに遅し」だった。

エネルギー問題に関して、欧州諸国はカザフよりも大きな悩みを抱えていると言ってよいだろう。2020年の欧州大陸の天然ガス生産量は2190億立方メートルで、消費量の半分に満たない。供給逼迫によってエネルギー価格は過去最高に達している。12月の短期的な電力卸売り価格は、1年前の約10倍に跳ね上がった。

裕福な国々では、家計に占めるエネルギー料金の割合が途上国よりも小さい。とはいえ、スペインの消費者は2019年以来、エネルギー価格が倍に上がっており、英国の家計は今後数カ月中に、年平均のエネルギー料金が50%余りも跳ね上がる見通しだ。

一部の欧州連合(EU)加盟国は、天然ガスの共同購入と戦略備蓄を訴えている。しかし最も厄介な問題は、政府が負担の一部を担うか否か、担うとすればどのように行うかという点にある。政府が負担を担わなかった場合に何が起こるかを、カザフは身をもって示してくれている。

●背景となるニュース

*カザフスタンのトカエフ大統領は5日、内閣総辞職を承認した。燃料価格引き上げへの抗議デモが広がり、治安当局が催涙弾を使う事態に発展したため。その後も大規模な抗議デモは続いている。

*トカエフ大統領は暫定的な新内閣のメンバーと州知事らに対し、LPGの価格統制を復活するとともに、ガソリン、ディーゼル、その他「社会的に重要な」消費財にも価格統制を広げるよう命じた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up