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コラム

コラム:ECB、インフレ懸念が英米より軽い訳

[ロンドン 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、歴代の総裁なら歓迎したであろう問題、すなわちインフレ率が高過ぎるという問題に直面している。これは、コロナ禍で臨時導入された金融緩和措置の巻き戻しを望む幹部らを勢いづかせるだろう。しかしユーロ圏の長期的な物価圧力は、米国と英国ほど憂慮すべきものではない。

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1日に発表されたユーロ圏の9月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同期比の上昇率が3.4%と、2008年以来の高い伸びとなった。ECBの目標値2%を大幅に超えているため、ECB高官らは、昨年のパンデミック渦中に開始した債券購入プログラムをいつまで使い続けるかを巡って角を突き合わせることになりそうだ。国ごとにインフレ率がばらついていることも緊張に輪を掛けるだろう。ドイツのインフレ率は4.1%に達しているのに対し、フランスは2.7%、ポルトガルは1.3%にとどまっている。

ユーロ圏同様にインフレ率が中銀目標を上回っている英米と同じく、物価上昇の一因はパンデミック絡みのゆがみにある。物価が急落した昨年との比較効果が現在の上昇率を大きく見せている上、サプライチェーンの混乱が英米とユーロ圏すべてに影響を及ぼしている。パウエルFRB議長やイングランド銀行(BOE、英中央銀行)のベイリー総裁と同じく、ラガルド氏もこれらの要因がいずれ消えると予想している。

仮にこれらの要因が長引くとしても、ECBの頭痛は英米ほどひどくないはずだ。ユーロ圏経済の回復スピードは米国より遅い上、ユーロ圏諸国の政府は米国ほど大規模な財政支出を行っていない。

ユーロ圏は英米に比べ、労働市場に大きな構造問題を抱えてもいる。経済協力開発機構(OECD)のデータによると、失業者のうち1年以上職に就いていない人の割合は米国で5.6%、英国で20%前後だが、イタリアは半分以上、ドイツとフランスは3分の1以上に上る。このためユーロ圏の労働者は賃上げを要求しにくく、大幅な賃上げによってインフレが定着してしまう可能性が低い。

従ってラガルド総裁は超緩和的な金融政策の継続を訴えやすく、臨時の債券購入プログラムについては、少なくともある程度の柔軟性を維持すべきだと主張しやすい。しかもECBが利上げを検討するのは、FRBとBOEが利上げを行ったずっと後になりそうだ。

●背景となるニュース

*欧州連合(EU)統計局が1日発表したユーロ圏の9月の消費者物価指数(HICP)速報値は、前年同期比3.4%上昇した。2008年以来の高い伸び。8月の上昇率は3%だった。

*ラガルドECB総裁は9月28日、インフレ懸念を一蹴し、新型コロナウイルス危機が和らいでも金融緩和を続けると表明。「主要な課題は、中期的に影響をもたらさない一過性のサプライショックに決して過剰反応しないことだ」と述べた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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