June 17, 2020 / 8:21 AM / 18 days ago

コラム:最高裁がLGBTQ差別に違法判断、米政治は機能せず

[ニューヨーク 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦最高裁が今一度、偉大なる米国のための仕事を「代行」した。政治がうまく働かないとき、企業や消費者や、他の影響力を持つ関係者が創造力を働かせて、この国が機能し続けるようにする。職場での性的少数者への差別を違法とする最高裁判断が出たことは、裁判官も自分たちの役割を理解していることを示す。

6月15日、職場での性的少数者への差別を違法とする米最高裁判断が出たことは、裁判官も自分たちの役割を理解していることを示す。写真は最高裁前で権利を訴えるLGBTQ運動の活動家と支援者たち。2019年10月、ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

15日の判断は、1964年成立の公民権法が性的指向や、心と体の性が一致しないトランスジェンダーにも適用されるとした。これは全米の29州で暮らすLGBTQ、多様な性を生きる人たちにとって朗報だ。こうした州は人口が合計で全米の半数以上を占めるが、そこではLGBTQに完全な法的保護が与えられていない。

これは米国社会が望んでいるもののようにも見える。2018年のハリス世論調査では、性的少数者への権利平等を支持するとの回答が80%に上っていた。

しかし、着地点は良くても、そこに至る道筋はたやすくなかった。15日の最高裁で判事3人は、性的少数者への保護を拡大するのは議会の仕事であって、裁判所の仕事ではないと主張した。既存の法律、ここは「性」に基づく「差別」が含まれるのだが、これを今回のような事情にあてはめるのは法律をゆがめることになるとも主張した。

この論点は的を突いている。問題なのは、米議会は法律の法制化に向けて努力しているが、それがこの問題についてではないということだ。政治家たちは新型コロナ危機で打撃を受けた人々への支援策第2弾の内容はもちろん、それが必要かどうかを巡ってさえ、今なお合意ができないのだから。

何年か前から企業が政治家に代わる仕事をする役割を果たし始めたのは、こうした理由からだ。大企業の大半は既に、性的少数者への差別を禁じる経営方針を導入している。長年、それを拒んできた石油大手エクソンモービル(XOM.N)のような会社でさえ、そうだ。

人権保護団体ヒューマン・ライツ・キャンペーンによると、フォーチュン500社のほぼ3分の2が、トランスジェンダーも会社の福利厚生の対象に含めている。

こうした動きは氷山の一角にすぎない。労働環境問題から気候変動問題に至るまで、企業経営トップは政治の空白を埋めるべく足を踏み入れてきた。

連邦の最低賃金規定を巡る議会の動きは停滞しているが、バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)やアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)といった企業は既に、幅はともかく、いずれにせよ賃金を引き上げている。

トランプ大統領は地球温暖化対策のパリ協定から米国を離脱させたが、アマゾンやスターバックス(SBUX.O)、マイクロソフト(MSFT.O)などの企業はみな、二酸化炭素排出を実質ゼロにすることを約束している。

議会が実現できないことを企業や裁判官が代わりに行うと、それは議会を苦境から助け出すことになってしまう。これは理想的な形ではない。

同時に考えねばならないのは、政治に代わって仕事がなされたのが素晴らしいのは何百万人もの性的少数者の従業員にとってだけではないということだ。なぜなら、こうした仕事が行われなければ、米国はまったく機能をしなくなってしまいかねないからだ。

●背景となるニュース

*米連邦最高裁は15日、1964年に成立した公民権法は、同性愛や心と体の性が一致しないトランスジェンダーを理由に解雇されることから従業員を守るとの判断を示した。[nL4N2DS4F2]

*1964年公民権法第7編は「人種、肌の色、宗教、性、出身国」を理由にした雇用差別を禁じている。今回の長年にわたった裁判では、文言の「性」が同性愛や両性愛やトランスジェンダーに対する差別にかかるのかが争点になってきた。

*最高裁判事9人のうち6人が、公民権法は性的少数者に適用されるとの判断に賛成した。

*提訴した原告3人は児童福祉の仕事を解雇された男性、元スカイダイビングの教官、葬儀社の従業員で、このうち2人は既に亡くなっている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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