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コラム

コラム:長期的視点強調の孫会長、投資家と食い違う時間軸

[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(SBG)が10日に開いた4─6月期決算説明会で投資家が期待したのは、純資産価値の半分ほどで推移する株価対策が語られる展開だった。ところが、孫正義会長兼社長は「ビジョン・ファンド」の出資先企業や人工知能(AI)関連投資の長期的な可能性を盛んにアピールした。それらのどれかはいずれ目の前の課題を解決してくれるかもしれないが、投資家の忍耐は次第に当てにしづらくなるだろう。

ソフトバンクグループの4─6月期決算説明会で投資家が期待したのは、純資産価値の半分ほどで推移する株価対策が語られる展開だった。ところが、孫会長兼社長は「ビジョン・ファンド」の出資先企業やAI関連投資の長期的な可能性を盛んにアピールした。写真は孫氏。都内で2018年5月撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

SBGの株価は、過去3カ月で3割ほど下落した。ハイテク株の軟調に加え、最近では中国の滴滴出行(ディディ)や満幇集団といった出資先企業が規制強化のあおりで株価急落に見舞われたことが痛手になった。

SBGは新年度以降、投資全体における中国向けの比率を従来の23%から11%に抑えている。こうした様子見姿勢は、株主にある程度安心感を与えるはずだ。

ただ、結果的にSBGの株価は同社の純資産価値の55%程度にとどまったままになっている。

以前にはこの水準では自社株買いが行われたが、孫会長は、これまでの自社株買いはいずれも投資案件の現金化を経て実施されており、今回はそうした事例に該当しないと説明した。

5月に終わった直近の自社株買いの費用は230億ドルで、もし1300億ドル相当のアリババ株保有を縮小していれば、新たな自社株買いの道が開けたかもしれない。

このところ孫会長が改めて強調しているのは、長期的な視点での思考と投資という、自身がずっと好んできたテーマだ。例えば、SBGは世界中のAI関連投資の10%を担っているが、孫氏はこれを19世紀の産業革命に資金を提供したロスチャイルド家の銀行になぞらえて語っている。

とはいえ、今目の前にあるのはもっと冷厳な事実だ。ハイテク株の比重が高いナスダック総合指数に追随する投資家の過去1年のリターンが39%に達した半面、孫会長の戦略を支持して得られたリターンはたった8%だった。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループが10日発表した4-6月期の投資利益は1兆2600億円(114億ドル)だった。最近上場した出資企業から得た利益が、幾つかの別の出資先で生じた評価損を圧倒した。

*ハイテク企業や新興企業向けの投資が大半を占めるビジョン・ファンドの調整後純利益は2360億円。

*中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディ)など一部の出資企業は不振で、幅広い中国株の売りを誘った。

*ソフトバンクの株価は3月末以降で27%下落している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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