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コラム

コラム:新NAFTA修正妥結、ただ市場の本命は米中合意

[サンフランシスコ 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな枠組み、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を巡る交渉がようやく決着したが、米国の前途に立ちはだかる課題に比べれば、これはほんの肩慣らし程度の作業にすぎない。ホワイトハウスがUSMCAの修正案で野党・民主党の合意を獲得できたのは確かに称賛に値する。しかし投資家が待ち望んでいるのは、さらなる難敵である中国との合意だ。

 NAFTAに代わる新たな枠組みを巡る交渉がようやく決着したが、米国の前途に立ちはだかる課題に比べれば、これはほんの肩慣らし程度の作業にすぎない。写真はライトハイザー米通商代表部代表。メキシコ市で10日撮影(2019年 ロイター/Henry Romero)

1994年に成立したNAFTAは、再三にわたって民主党の批判の的となっていたため、USMCA修正案の売り込みは高くついた。合意を妨げてきたのは、メキシコに労働基準をどうやって順守させるかの議論が紛糾したことだ。その結果として同国の労働基準実行をしっかりと担保する仕組みが導入され、ペロシ下院議長が10日、「(当初案とは)比べものにならないほど改善された」と内容を称賛した。米労働総同盟・産別会議(AFL・CIO)も支持している。

USMCA修正交渉が曲折をたどる間も、ずっと投資家は落ち着きを維持した。彼らはいざとなれば当初の合意案が生きているとみなしていた。つまりトランプ大統領がUSMCAの取り決め自体を完全に破棄しようとしない限り、大丈夫と思ったのだ。

ただし米中協議に関しては、市場はずっと神経質になっている。トランプ氏が先週、協議は2020年大統領選後までずれ込む可能性があると発言すると、ダウ工業株30種.DJIは400ドルも急落した。現在は両国の交渉担当者が、15日に米国が約1600億ドルの中国製品に15%の関税を適用する事態を十分回避できる落としどころを懸命に探っている。

もっともそこで米中が合意しても、話は終わらない。いわゆる「第1段階」の合意は、中国による米農産品購入といった比較的シンプルな問題を総称したあいまいな言い回しであり、技術の強制移転や知的財産の保護といったより複雑な分野の話し合いは先送りされる。

米国は欧州との通商関係も悪化しつつある。フランスが導入したデジタルサービス税が、フェイスブックFB.Oなどの米IT大手企業に打撃を与えていることに、欧州連合(EU)のエアバスAIR.PAに対する補助金を巡る対立も加わって、トランプ政権はフランス産シャンパンやチーズ、あるいは欧州のパスタ、ワイン、コーヒーに関税を課す可能性が出てきている。米政府はアルゼンチンとブラジルに鉄鋼関税を発動するという予想外の措置も講じた。だからUSMCAの交渉が妥結したからといっても、投資家はなお崖っぷち状態にとどまると覚悟すべき理由が幾つも存在する。

●背景となるニュース

*米・メキシコ・カナダの3カ国は10日、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の修正文書に署名した。

*メキシコは労働基準問題で米国による査察を拒否したが、第三者の審査を受け入れることや、自動車輸出の原産地ルールに関して鉄鋼・アルミニウムを北米産とみなす基準をさらに厳格化することにも同意した。関税ゼロとなる北米産部品の比率は、NAFTAでは62.5%だったが、USMCAでは75%が求められる。

*一方、15日から米政府は約1600億ドルの中国製品に新たな関税を適用する予定。米中の「第1段階」の貿易合意が正式に調印された場合は、この関税は撤廃ないし延期される可能性がある。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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