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コラム

コラム:ネットフリックス、ただ乗り対策が「成長の壁」克服の鍵に

 ネットフリックスが18日発表した新規契約者数と売上高見通しはともに市場予想に届かず、成長余地が乏しいことを印象付けた。ただ、パスワード共有による「ただ乗り」に歯止めをかけるなど、企業価値向上のために打つ手は残っている。写真は同社のロゴ。2022年4月撮影(2023年 ロイター/Dado Ruvic)

[ニューヨーク 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米動画配信大手ネットフリックスが18日発表した新規契約者数と売上高見通しはともに市場予想に届かず、成長余地が乏しいことを印象付けた。ただ、パスワード共有による「ただ乗り」に歯止めをかけるなど、企業価値向上のために打つ手は残っている。収益への貢献は小さいかもしれないが、競争上優位に立つ同社には十分有意義だ。

第1・四半期の新規契約者数は約180万人と、リフィニティブがまとめた市場予想の約200万人を下回った。総契約者数の前期比伸び率は1%にとどまった。第2・四半期の売上高見通しは82億ドルで、前年比3%増だが市場予想に届かなかった。

同社は昨年、パスワードを借りて作品を無料視聴している層が1億世帯に上ると明らかにしている。「ただ乗り」を取り締まり有料会員に取り込む方法をカナダやニュージーランドなどで試行錯誤しており、最近導入した広告付きの低価格プランに効果が期待できる。

米国とカナダの推定3000万人の「ただ乗り」視聴者を月額7ドルの同プランに加入するよう説得できれば、13億ドルの追加収入が生じる。モルガン・スタンレーのアナリストチームによると、負債を加味した同社の企業価値は、2023年予想売上高の約5倍の水準で推移しており、この追加収入で価値が60億ドル増える計算になる。

同社ほどの規模の会社にこの額は少ないかもしれないが、他の前向きな変化と合わせれば効果が積み上がるはずだ。最も重要な変化はコンテンツ投資の抑制で、同社はこの結果、今年のフリーキャッシュフロー(FCF)が従来予想の35億ドルから5億ドル増えると見込んでいる。

FCFは過去数四半期に順調に増えてきた。リフィニティブのデータによると、今年は1株当たり7ドル余りとなる見込みで、新型コロナウイルス禍前の18年のマイナス6ドル前後に比べると歴然の差がある。動画配信事業を巡りアクティビスト(物言う投資家)の批判にさらされているウォルト・ディズニーとも対照的だ。競合社が悪戦苦闘する中、ネットフリックスは辛うじて成長の壁を乗り越えようとしている。

●背景となるニュース

*ネットフリックスが18日発表した第1・四半期決算は、利益が市場予想を上回った。一方、第2・四半期の見通しは予想に届かず、動画配信市場が成熟する中で成長を模索する難しさが浮き彫りになった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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