for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:ネットフリックス、注目に値する「イカゲーム」の採算性

[ニューヨーク 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 韓国制作のドラマ「イカゲーム」では、ゲームへの出場者は運動場での残酷な競争で負ければ、それは死を意味する。このドラマが大ヒットした事実は、制作者の米ネットフリックスがそんな運命に陥るのを避けるため、いかに適切に動いているかを物語っている。

韓国制作のドラマ「イカゲーム」では、ゲームへの出場者は運動場での残酷な競争で負ければ、それは死を意味する。このドラマが大ヒットした事実は、制作者の米ネットフリックスがそんな運命に陥るのを避けるため、いかに適切に動いているかを物語っている。写真はジャカルタのカフェで登場するキャラクターに扮(ふん)したスタッフ。15日撮影(2021年 ロイター/Ajeng Dinar Ulfiana)

リード・ヘイスティングスとテッド・サランドス氏が共同で最高経営責任者(CEO)を務めるネットフリックスは19日、9月末の新規契約件数が440万件だったと明らかにした。一因は、イカゲームが同社にとって中核市場である米国でも人気を博したことだ。9月17日に配信を開始してから4週間で、会員の1万4200世帯が視聴。連続ドラマとしては恋愛作品の「ブリジャートン家」を超える記録となった。

ネットフリックスの投資家は、同社の全収入につながる契約件数を注視している。しかしイカゲームは別の重要な数値、つまりコストにも注意を向けさせるはずだ。ネットフリックスがイカゲームの制作に費やしたのはわずか2000万ドル余りだが、ブルームバーグによると同社はこの作品の評価価値を9億ドル近くと、実に元手の40倍以上に相当する水準に算定している。世界中のユーザーが同社に1人当たり月平均約11ドルを支払っている以上、新規ユーザーを16万人でも1年間つなぎ留められれば、かなりの見返りが得られることになる。新規ユーザーを700万人呼び込めるとすれば、イカゲームに対するネットフリックスの評価額はあながち過大とは言えない。

それこそイカの触手のように、世界各地の市場を物色して北米の視聴者が楽しめるコンテンツを探し出すというのは、ネットフリックスが世界中への事業拡大で採用した新たな戦略だ。同社は現在、約45カ国で地元のドラマや映画を制作している。少なくともこのやり方は、ハリウッドからコンテンツを買ってくるより安上がりと言える。

「ハリウッド・リポーター」によると、ネットフリックスは最近、米国の有名プロデューサーのションダ・ライム氏と3億ドルで再契約した。有名スターを多数出演させ、外国にも輸出できるコンテンツももちろん重要さを失っていない。そうした戦略に頼っているのがウォルト・ディズニーやAT&T傘下のワーナー・メディアだ。

しかし米国外で制作したコンテンツがヒットすることは、動画配信サービスの激烈な競争の世界では大いなる強みになる。実際、ネットフリックスにはイカゲームのほか、フランスのドラマ「ルパン」というヒット作がある。

多国籍企業の間では何年も前から、新興国市場が投入コストの低減と同時に増収ももたらしてくれることが知られている。ところがメディア業界ではこうしたことを十分に素早く認識できていない。ネットフリックスでは第3・四半期にコンテンツ制作と取得の関連費用が全売上高の約45%をも食いつぶした。同社はこうした費用負担を理由に、第4・四半期には営業利益率が低下すると予想している。

ネットフリックスは最終的に利益を出せている。しかし、第3・四半期のフリー・キャッシュフローは赤字だったし、過去8四半期のうち4四半期でも同様だった。イカゲームでのような成功がもっと増えれば、キャッシュフロー収支ももっと改善できるだろう。

●背景となるニュース

*ネットフリックスが19日発表した第3・四半期の世界全体の有料契約件数は440万件増加した。同社予想は350万件増だった。世界の契約総数は約2億1400万件になった。

*売上高は前年同期比16%増の75億ドル。利益は15億ドル(1株当たり3.19ドル)、前年同期は7億9000万ドル(1.74ドル)だった。

*ブルームバーグは16日、ネットフリックスの自社制作の韓国ドラマシリーズ「イカゲーム」について、社内の試算に基づくと9億ドル近い価値があると報じた。制作費は2140万ドル。ネットフリックスによると、配信開始からの4週間で全体で1億4200万の契約世帯が視聴した。これは連続ドラマとして過去最高という。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up