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コラム

コラム:コロナ制圧でマイナス成長、NZの厳しい現実

[香港 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ニュージーランドがせめて、あの惑星「パンドラ」のようであったなら──。緑おい茂る島国として、同国は、大ヒットを収めたSF映画「アバター」に出てくる惑星のロケ地となった。先住民族が暮らし、希少鉱物アンオブタニウムが発掘される星だ。

 6月18日、ニュージーランドが発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前期比1.6%のマイナス成長となった。同国はいちはやく対策に動いて新型コロナの封じ込めに成功はしたももの、経済への打撃が非常に大きかった。写真は会見するアーダーン首相。3月13日、クライストチャーチで撮影(2020年 ロイター/Martin Hunter)

しかし、実際のニュージーランドは、2000億ドル(約21兆円)規模の同国経済が観光と移民に大きく依存している。ニュージーランドほど新型コロナウイルスの感染封じ込めに成功した例は世界のほとんどの地域で見当たらず、ニュージーランドの現実はコロナ感染の問題点を示している。

同国が18日に発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前期比1.6%のマイナス成長となり、厳しい現実を突きつけた。四半期として約10年ぶりのマイナス成長であり、その幅も1991年以来で最大となった。しかもアーダーン首相が3月末に発表したロックダウン(封鎖)の影響は、第1・四半期の数字に1週間分しか反映されていない。第2・四半期の成長率はさらに著しく悪化するだろう。

これは、新型コロナの感染制御に成功してもなお、コストは重くのしかかる可能性があることを示す格好の事例だ。ニュージーランドは全人口500万人に対して感染者数が現状で1200人に満たず、死者は22人にとどまっている。国際社会は、首相の断固とした感染防止対策を賞賛。同国は6月に入って、新型コロナを根絶できたと考えた。

ただ、その後、海外から訪れた2人が陽性と診断された。この一件で、経済正常化への熱意はいく分、水を差されるだろう。制限措置の緩和に伴い個人消費は回復してきたが、おそらく長続きはしない。

外国人旅行客からの収入は国内総生産(GDP)の5%を占め、雇用における観光産業の比率はさらに高い。ANZのエコノミストらによると、同国の失業率は10%に達する可能性がある。これでは国境が再開されても移民受け入れの意欲、さらに移民にとっての魅力も乏しくなり、ニュージーランド経済の重要な側面が台無しになってしまう。

波及的な影響もあるだろう。移民が減れば、中央銀行による支援もむなしく、建設と住宅価格は打撃を被る。オーストラリア、場合によってはさらに多く国との間に「トラベル・バブル(渡航できる安全圏)」を設ける計画も、感染拡大の恐れなどから遅れが出たり、範囲が狭まったりするかもしれない。

経済協力開発機構(OECD)が予想する最良のシナリオでも、ニュージーランド経済は今年9%のマイナス成長に陥る。これは米国、すなわち新型コロナの感染拡大が厳しく、今でも感染がまん延している国よりも悪い予想だ。ニュージーランドはジェームズ・キャメロン監督に、同国内でのアバター続編の撮影再開を許可したばかりだが、これで国の財政の解決策を「採掘」する、というわけにはいかないだろう。

●背景となるニュース

*ニュージーランドが18日発表した第1・四半期のGDPは、前期比1.6%のマイナスだった。マイナス成長は2010年以来初めてで、マイナスの程度は29年ぶりの大きさ。

*世界保健機関(WHO)によると、17日時点で同国の新型コロナ感染確認者数は1156人、死者は22人。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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