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コラム

コラム:パウエルFRB議長、物価上振れ見極めで「綱渡り」

[ロンドン 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、物価上昇率がどこまで高まれば「行き過ぎ」になるか判断しなければならない。米労働省が13日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前月比上昇率が0.6%と、2012年以降で最も大きくなり、前年比上昇率も2.6%に跳ね上がった。パウエル氏はこれを一時的要因だと無視できるだろうが、物価上昇の許容限度を見極めるというさじ加減が難しい仕事に直面している事実は変わらない。

 米FRBのパウエル議長は、物価上昇率がどこまで高まれば「行き過ぎ」になるか判断しなければならない。写真はワシントンで昨年3月撮影(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

米CPIの前年比上昇率が2月の1.7%から2.6%まで大幅に上振れたのは、原油高が燃料価格に波及していた中で、あくまで想定された事態だ。新型コロナウイルスのパンデミックの影響で物価が下がった昨年春との比較で大幅上昇するという「ベース効果」もやがて消えていく。さらに変動の大きいエネルギーと食品を除くコアCPIの前年比上昇率は1.6%だった。中央銀行、特に長年にわたって信頼の土台がある中銀は、物価上昇率が短期的に目標からかい離しても見過ごすことは可能だ。とりわけFRBの場合、これまでより完全雇用の達成を重視し、物価上昇率が2%の目標を一定期間上回っても許容する新戦略を昨年採用しただけに、目くじらを立てなくてもよい。

ただこれには、経済が過熱するリスクがある。国際通貨基金(IMF)が今月公表したデータによると、米政府はパンデミック対策として昨年、国内総生産(GDP)の16.7%相当の財政資金を家計や企業、州・地方自治体に提供した。その上、バイデン大統領は2兆3000億ドル強をインフラ整備に投じたい意向だ。既に米経済の急速な回復が視野に入ったところで、これほど大規模な財政出動があれば、インフレを起こしかねない。IMFは米国の今年のGDPがパンデミック前を上回ると見積もっている。

別の心配として、消費者の予想物価上昇が挙げられる。ニューヨーク連銀が13日に公表した3月の調査では、消費者が予想する1年後の物価上昇率の中央値は3.2%、3年後は3.1%で、いずれも14半ば以来の高さだった。

パウエル氏が切望しているのは、より多くの社会階層を取り込む形の景気回復を促すことで、そのためには経済・社会的に最も不利な立場に置かれた人々に景気回復の恩恵が行き渡るまで、金融緩和のブレーキを踏むのを待たなければならない。つまり失業率が足元からさらに大きく低下するまで、物価上昇を重視しないという意味になり得る。だが予想物価の抑制が効かなくなれば、FRBが将来、もっと強引な政策対応を迫られるかもしれない。パウエル氏にとっては、一か八かの綱渡りをする局面がやってきている。

●背景となるニュース

*米労働省が13日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇と、2012年8月以来の高い伸びになった。前年比上昇率も2月の1.7%から2.6%に跳ね上がった。

*エネルギーが主な押し上げ要因の1つで、前年比上昇率は13.2%だった。

*変動の大きいエネルギーと食品を除くコアCPIの前年比上昇率は1.6%。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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