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コラム

コラム:仮釈放のサムスン電子副会長、待ち構えるM&Aの難題

[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 韓国サムスン電子は、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の仮釈放によって次章に向けた準備に入った。実質トップの李氏には、早期に釈放されたからには積み上がった巨額の手元資金を派手に投資してほしいとの重圧がのしかかる。一方で、巨体のサムスンが買収を行うとなると創造性を発揮する必要もあり、巧妙な舵取りを迫られそうだ。

韓国サムスン電子は、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の仮釈放によって次章に向けた準備に入った。写真左は昨年11月、ソウルの裁判所に到着する同副会長(2021年 ロイター/Kim Hong-Ji)

李氏の仮釈放は、韓国の企業統治改革を進めてきた人々にとっては大きな挫折となった。贈賄や横領などの罪で起訴された李氏(53歳)は、既に控訴審によって刑期が5年から2年6カ月に短縮されていたが、収監期間はその3分の2に満たなかった。

財界ロビー団体や米商工会議所の地元支部など、仮釈放を求めていた勢力は、主要な意思決定者が収監されていてはサムスン電子が大規模な投資や買収を行えないと主張。当局は李氏の生活態度や韓国経済がコロナ禍で打撃を受けていることを理由に折れた。

サムスン電子の軍資金は6月時点で正味約820億ドルに達しており、これを利用すべきだとの圧力が高まっていた。同社は新規ビジネスが制約を受けていることを認めている。韓国のSKハイニックス、現代グループ、台湾積体電路製造(TSMC)、米インテルなどが前進する中、サムスン電子は半導体受注生産や自動運転車、次世代通信規格「5G」、バイオ技術などの分野で遅れを取った。

李氏はおそらく、メモリーチップ以外の分野に焦点を定めるだろう。例えばロイターによると、サムスン電子は170億ドルを投じて米国にマイクロプロセッサの製造施設を建設する計画を検討している。世界的な半導体不足で特に自動車メーカーが打撃を被っていることから、サムスンが自動車用半導体を専門とするオランダのNXPセミコンダクターズに対する580億ドル規模の買収を検討している、との臆測も広がっている。

買収成立に熱を上げると、過剰な対価を支払ってしまうリスクがつきまとう。半導体企業の合併に警戒感を強める政府と独占禁止当局をなだめるのも大きな課題になるだろう。例えば英政府は米半導体大手エヌビディアによる英半導体設計企業アームの買収計画について、国家安全保障に及ぼす影響を懸念している。こうした状況下で合併・買収(M&A)に臨む李氏は、高いハードルをクリアする必要がある。

●背景となるニュース

*韓国の法務省は9日、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を13日に仮釈放すると発表した。国民感情や受刑中の良好な生活態度など、さまざまな要因に基づく総合判断だと説明している。

*李氏は朴槿恵(パク・クネ)前大統領の友人に対する贈賄などの罪で懲役刑が確定し、2年6カ月の刑期のうち合計1年6カ月収監されたところだった。2017年8月当初に5年の懲役刑を言い渡されて1年間収監された後、いったん仮釈放された。差し戻し控訴審により刑期が短縮された上で、今年1月に再収監されていた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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