June 26, 2020 / 5:08 AM / 11 days ago

コラム:孫氏とマー氏が「社会的距離」、ソフトバンクの命運は

[ロンドン 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(SBG)(9984.T)の孫正義会長兼社長とアリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)(9988.HK)創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が、あたかも企業版ソーシャルディスタンスで互いの距離を取ろうとしているかのようだ。

6月25日、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(写真左)とアリババ・グループ・ホールディング創業者の馬雲(ジャック・マー)氏(同右)が、あたかも企業版ソーシャルディスタンスで互いの距離を取ろうとしているかのようだ。2019年12月、東京で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

両人とも、それぞれの取締役会のメンバーから退こうとしている。さらにSBGは、保有するアリババ株の一部を使って115億ドルを調達した。今後も持ち株を手放す選択は妥当な判断だろう。

孫氏は25日、15年間務めたアリババ取締役を直ちに退任すると表明した。これは馬氏が13年間のSBG取締役の経歴を終えるのと同じタイミングだ。

電子商取引を手掛ける中国のアリババに、孫氏が2000年に2000万ドルを投資した際のエピソードは有名だ。馬氏によると、短時間の会談の中で「われわれは売上高の話もしなかったし、ビジネスモデルについての話さえしなかった」──。

SBG側のデータによると、保有する約25%のアリババ株の評価は、SBGの資産価値2830億ドルの54%を占める。

ただ、良い話ばかりではない。投資家というものは、他社の保有分をひっくるめた株式評価には極めて辛口だ。SBGの場合、純債務を除いた株式時価総額は1010億ドル。孫氏がふさわしいと主張する2190億ドルの半分に満たない。

押しつけがましい「物言う投資家」のヘッジファンド、エリオット・マネジメントはSBGに対し、この評価額のギャップを確認して縮めるべく資産売却や自社株購入を迫っている。その結果、SBGは5月に一連の複雑なデリバティブ取引を導入。その中でアリババ株を使う形で115億ドルを調達することができた。

ここで立ち止まる理由はない。というのも、SBGの株式時価総額は純資産価値に比べて依然、大きく見劣りするからだ。このギャップを縮めることは負債圧縮にも役立つかもしれない。

S&Pグローバル・レーティングスは今月、SBGの借り入れ増を利用した自社株購入は「財務の健全性と信用性」についての同社のコミットメントに疑念を抱かせると指摘している。

アリババ株をさらに手放すことは、孫氏を多少、政治的な悩みから救うことにもなるかもしれない。SBGがアリババの最大の投資家であることはこれまで、ほとんど目立っていなかった。

一方でSBGは、米ウーバー・テクノロジー(UBER.N) といった米企業のいくつかや、世界的に重要な半導体設計会社の英アームにも出資している。

ところで、たとえば英銀HSBC(HSBA.L) (0005.HK)のように東洋と西洋を股に掛けてビジネスをしようとしていた企業は最近、(米国と中国の)どちらの側を取るのかを巡って圧力にさらされている。

だから、孫氏がアリババからさらに距離を取れば、彼にとって少しばかり、政治的な安全を得られることになるかもしれない。

●背景となるニュース

*SBGの孫氏は25日、アリババの取締役を退任すると発表した。

*アリババの馬氏はすでにSBG取締役を退くことを決めており、25日付で退任した。

*孫氏は2005年から、馬氏は07年から、互いの取締役会のメンバーだった。

*SBGは5月18日、アリババ株を用いて115億ドルを調達したと発表。自社株買いのに充てるとした。アリババ株をすぐに売却するのでなく、さまざまなデリバティブ手法を活用すると説明した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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