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コラム

コラム:ソフトバンクにアーム売却観測、孫会長が見たIoTの夢

[香港 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] -

 7月14日、ソフトバンクグループの孫正義会長はかつて、自分が買収した中で最も重要な企業に英半導体企業アーム・ホールディングスを挙げた。しかし4年前の買収以来、アームの事業部門は分離され、売上高と営業利益の伸びは期待を裏切っている。写真は自社のイベントでプレゼンテーションをする孫氏。2016年7月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

ソフトバンクグループ9984.Tの孫正義会長兼社長はかつて、自分が買収した中で最も重要な企業に英半導体企業アーム・ホールディングスを挙げた。しかし4年前の買収以来、アームの事業部門は分離され、売上高と営業利益の伸びは期待を裏切っている。孫氏は今、アーム株の一部売却・上場を検討中とされるが、投資家に自身のアーム熱を共有してもらうのは一苦労かもしれない。

アームは、米アップルAAPL.Oや米クアルコムQCOM.Oなどの企業向けに半導体設計をライセンス供与している。世界中のスマートフォンのほとんどで、その設計は使われている。しかし孫氏が夢見るのは、アーム発の半導体がいつの日にか、ランニングシューズから牛乳容器に至るまで、あらゆるものに利用される「モノのインターネット(IoT)」の世界だった。

2016年、ソフトバンクグループは320億ドルでアームを買収した。これは当時の株価に43%上乗せした水準で、予想利益に基づく株価収益率(PER)は実に48倍だった。Breakingviewsは当時、ソフトバンクがアームの年間営業利益を5倍以上に押し上げて、投資収益率がようやく10%になるとの試算を示した。

IoTへの巨大な賭けは、今のところほぼ期待外れに終わっている。ソフトバンクグループ傘下に入ったアームは研究・開発に巨額を投じ、大型の買収を行い、人材採用に精を出していた。

しかし今年3月に終わった会計年度は、売上高が2070億円と2%の微増にとどまり、430億円の営業赤字を出した。スマホの販売低迷が主因だ。調査会社IDCによると、新型コロナウイルス感染の世界的大流行により、今年の販売は12%減少する見通しで、さらなる痛みが待っていることを示唆する。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、孫氏はアームの売却や新規株式公開(IPO)といった選択肢を検討している。現在のアームの企業価値を評価するのは難しい。同社の中国事業の一部は18年に売却され、最近では2つのIoTソフトウエア部門を親会社のソフトバンクグループに移管する計画も発表された。その上、世界的な半導体企業の株価は揺れ動いてきている。

しかもアームと直接競合する企業は一握りしかない。画像処理半導体の米エヌビディアNVDA.Oの株価は、過去の売上高の約20倍なのに対し、米インテルINTC.Oは3倍前後といった具合だ。この倍率で計算すると、アームの企業価値の目安は約60億ドルから400億ドルの範囲にばらついてしまう。アームを現金化するには孫氏はやや根気を強いられそうだ。

●背景となるニュース

*米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが13日、複数の関係筋の話として報じたところでは、ソフトバンクグループはアーム・ホールディングスの一部あるいは全体について、売却やIPOなどの選択肢を検討している。検討は初期段階。

*ソフトバンクグループは3月、自社株買いと債務削減のために最大4兆5000億円相当の資産を売却する計画を発表した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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