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コラム

コラム:スリランカの対中債務問題、ウォール街にも波及へ

[ムンバイ 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - スリランカは中国の「債務のわな外交」の見本例だ。従って、金融危機が深刻化するスリランカが中国に債務緩和を求めたのは理にかなっている。ラジャパクサ大統領の選択肢としては他に、インドなどの諸外国にばらばらに資金援助を求める、もしくは緊縮策を強いられることを覚悟で国際通貨基金(IMF)による救済を再び仰ぐ可能性があり得る。しかしスリランカの資金難をより上手に解決できるのは、同国として初めて対外デフォルト(債務不履行)を起こす道かもしれない。

 1月11日、スリランカは中国の「債務のわな外交」の見本例だ。写真は9日、コロンボを訪問した中国の王毅外相(写真左)を出迎えるラージャパクサ首相(2022年 ロイター/Dinuka Liyanawatte)

西側諸国は、中国をスリランカの債務問題における一番の悪役と見なしている。これは2017年以来のことだ。当時、戦略的に重要なスリランカのハンバントタ港は、物議を醸したデット・エクイティ・スワップ(債務と株式の交換)に基づく99年間のリースにより、中国国有企業の手に渡った。

急スピードでスリランカの債権国になった中国だが、財務省の公式データによると、スリランカの対外債務に占める割合は10%と、日本並みにとどまっている。

ただ、より大きな問題は米ウォール街やその他の機関投資家に対する債務だ。昨年4月時点で、スリランカの対外債務350億ドル(約4兆0250億円)のうち47%を市場での借り入れが占めている。今年返済期限を迎える45億ドルの半分以上はドル建て債券に絡んでいる。

しかしパンデミックによりスリランカの観光産業は閉ざされ、観光客数が近い将来に完全回復することは見込み難い。2030年3月償還の国債(表面利率7.55%)は現在、元本1ドルに対して0.5ドルで取引されている。

実際のところ、当局者らは負け戦を戦っている。外貨準備は中国が通貨スワップによって急きょ支えた結果、昨年12月時点で31億ドルに増えた。しかし1月18日には5億ドル、7月には10億ドルのドル建て債が返済期限を迎える。2025年までに返済義務のある債務も積み上がっている。

一方、資金難と、それによる生活必需品の出荷遅延により、スリランカ国民は2桁台のインフレに加え、エネルギーから食品に至るあらゆる物資不足に見舞われている。このことは政府の深刻な歳入不足に輪を掛けている。

危機がここまで来た今となっては、突如として政府支出を削るよりはソブリン債でデフォルトを起こす方が傷は浅いかもしれない。その場合、有力債権者は痛みを分かち合う代わりに、スリランカを国際資本市場から締め出すことになる。これはスリランカにとって、中国依存の拡大と同じぐらい心配な対外債務の増大を断ち切る機会になるだろう。

●背景となるニュース

*スリランカのラジャパクサ大統領は、コロンボを訪問した中国の王毅国務委員兼外相に対し、深刻化する金融危機を乗り切るために債務再編に応じるよう求めた。大統領府が9日に発表した。大統領は、「新型コロナウイルスのパンデミックに起因する経済危機の解決」のために中国が債務再編に応じれば、「大きな助けになる」と述べた。

*大統領は中国に対し、スリランカ向け輸出の条件緩和や、中国人観光客によるスリランカ旅行の許可も求めた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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