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コラム

コラム:政変招いたスリランカ経済崩壊、次の焦点は債務交渉

[ムンバイ 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - スリランカの政権交代は、崩壊した経済の立て直しに向けた一歩になるかもしれない。9日に群衆が大統領公邸を占拠したことを受け、ラジャパクサ大統領は辞任の意向を固めた。私邸が放火されたウィクラマシンハ首相も辞意を表明した。しかし、市民だけでなく債権者も今後、状況が改善するまで長い道のりをたどることになりそうだ。

 スリランカの政権交代は、崩壊した経済の立て直しに向けた一歩になるかもしれない。写真は9日、コロンボの大統領公邸に入る抗議参加者(2022年 ロイター/Dinuka Liyanawatte)

野党は挙国一致内閣を樹立する見通しだ。これにより、国際通貨基金(IMF)が30億ドルの支援の前提条件とする大規模な改革を受け入れやすくなるかもしれない。

ウィクラマシンハ首相は5日に国が「破産」したと宣言し、ガソリン供給は停止。2200万人の国民は食料と医薬品が不足し、最大都市・コロンボの消費者物価は年率55%のインフレに見舞われている。

スリランカがIMFの支援を取り付けるには、国内総生産(GDP)の120%に及ぶ公的債務比率を、少なくとも3分の1縮小する必要がありそうだ。

最も大きな損失を被るのは、民間の債券保有者だろう。スリランカの外貨建て対外債務500億ドルのうち3分の1以上を、国際市場で発行されたソブリン債40本程度が占めている。

このうち今月満期を迎える10億ドルの債券は、2月には元本1ドルに対して0.74ドルだったのが、現在は0.39ドルで取引されている。これは61%のヘアカット(債務減免)を織り込む水準だ。中には0.29ドルまで下がっている債券もある。

もう1つの主要債権者層である国際機関や、二国間融資を行っている国は、一般的に利率がもっと低いため元本棒引きに応じる確率が低い。今のところ、スリランカ支援の主役を担っているのはインドで、融資枠や燃料の提供を含めて約35億ドルの支援を行っている。

昨年4月時点でスリランカの対外債務の10%を占めていた中国は15億ドルの通貨スワップを約束しているが、条件が厳しいため使い物にならない。実際、中国はパキスタンからザンビアに至るまで多くの国々との債務交渉に直面しているが、甘い顔はしない姿勢を示唆している。

世界経済が混乱しているため関係者全てが痛みを抱えており、これらの関係者は債務交渉には厳しい姿勢で臨むだろう。交渉は長く困難な道のりとなりそうだ。

●背景となるニュース

*IMFは10日、スリランカの政治危機が決着して支援交渉が再開できるようになることを望むと表明した。前日には群衆が大統領公邸を占拠し、ラジャパクサ大統領が辞任の意向を固めていた。スリランカはIMFとの間で30億ドル規模の支援策について交渉中だった。

*議会報道官によると、ラジャパクサ大統領は13日に辞任する見通し。首相府も、ウィクラマシンハ首相が辞任して挙国一致の暫定政権に道を譲る方針だと確認した。首相の私邸は放火された。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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