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コラム

コラム:トルコ、中銀総裁解任は最悪のタイミング

[ロンドン 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 先進国の将来のインフレリスクが投資家の話題に上る中、トルコはかなり前から顕在化しているインフレ危機の見て見ぬふりに躍起だ。

 トルコのエルドアン大統領は20日未明、インフレ危機に利上げで対応してきたアーバル中銀総裁(写真)を任命から5カ月足らずで解任。後任に高金利反対派を充てた。写真はイスタンブールで2月撮影(2021年 ロイター/Umit Bektas)

トルコのエルドアン大統領は20日未明、インフレ危機に利上げで対応してきたアーバル中銀総裁を任命から5カ月足らずで解任。後任に高金利反対派を充てた。

低金利を繰り返し求めてきたエルドアン大統領が中銀総裁を解任するのはここ2年弱で3回目。

元財務相のアーバル氏は昨年11月の就任以来、主要政策金利を19%まで、計875ベーシスポイント(bp)引き上げた。これによりトルコリラは下落に歯止めがかかり、対ドルで18%上昇。投資家からの評価は高かった。

だが、中銀が今月18日の政策決定会合で、物価上昇とリラ下落に先手を打つための「前倒し」措置として、市場予想の倍となる200bpの利上げを決めたことに大統領は不満だったようだ。

大統領は借り入れコストの上昇は、物価の抑制よりむしろインフレにつながると考えている。大統領はまた、2023年の大統領選に向けて経済成長の加速を求める圧力にもさらされている。

後任のカブジュオール新総裁は銀行取引の専門家かつ政権寄りのコラムニストで、エルドアン大統領の奇抜な金融政策観に理解がある。

アーバル前総裁はインフレ抑制を責務とし、23年末までにインフレ率を目標である5%に抑制すると表明していた。だが、今年2月のインフレ率は15.6%に加速するなど、目標達成への歩みは遅かった。それでも、前総裁は中銀の信頼回復に貢献してきた。

一方、新総裁はおそらくトルコ経済のとりわけ困難な時期に金融緩和を導入することになるだろう。

新型コロナウイルスの世界的大流行に伴い観光業が壊滅的な打撃を受け、幅広い業種で景気が減速する中、2019年に黒字だったトルコの経常収支は2020年は370億ドルの赤字に転落し、外貨需要が増した。これまでリラ防衛にあたってきた国有銀行はリラ急落の打撃をより受けやすい状態にある。

リラ防衛策がほとんどない中、通貨危機が起こる可能性は高い。トルコの純外貨準備高は3月12日時点でわずか110億ドルと、大量売りに対抗するには少なすぎる。トルコ政府は資本流出を阻止するためリラの流動性抑制策を強化する可能性があるが、さらなる信頼低下につながるだけだろう。

エルドアン政権下でインフレ危機は一段の悪化が見込まれる。

●背景となるニュース

*トルコのエルドアン大統領は20日、昨年11月に任命したばかりのトルコ中央銀行のアーバル総裁を解任。

*トルコ中銀は18日の政策決定会合で、主要政策金利の1週間物レポレートを市場予想の倍となる200ベーシスポイント(bp)引き上げ、19%とすることを決定。物価上昇と通貨リラ相場の下落に先手を打つために「前倒し」的に対応したと表明した。

*トルコリラはアジア時間22日午前の取引で対ドルで2桁の下落率。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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