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コラム

コラム:米労働市場の勢い止まらず、懸念される利上げ長期化

 米労働市場は決して勢いを止めようとしない。写真は4月、米バージニア州アーリントンで撮影した求人募集(2023年 ロイター/Elizabeth Frantz)

[ワシントン 5日 ロイター Breakingviews] - 米労働市場は決して勢いを止めようとしない。4月も新規雇用、賃金伸び率、失業率のいずれもが改善し、5%の政策金利が雇用鈍化をもたらすとの見方に水を差した。しかし現在は労働者のプラスとなっているこうした状況も、将来的にはマイナスになるかもしれない。直近のデータは、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長と他の政策担当者らに「より高く、より長い」利上げを目指すべきだとの新たな理由を与えているからだ。

米労働省が5日発表した最新の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は2月と3月の伸びが下方改定されたとはいえ、4月は25万3000人の増加を記録。失業率は歴史的低水準の3.4%に再び下がった。一方平均時給の前月比上昇率は0.5%と昨年3月以来の大幅な伸び。前年比上昇率は4.4%だった。

こうした数値によって米経済の動向を把握するための計算式はある程度変わってくるのではないか。労働者は増えた給与を支出に回し、それに呼応して企業が値上げに動くため、報酬増加で物価があっという間に押し上げられてもおかしくない。FRBが引き締め姿勢を転換して間もなく利下げを開始するという投資家の期待は裏切られるかもしれない。3月の個人消費支出(PCE)物価指数の前年比上昇率は4.2%と、FRBが目標とする2%の2倍余りに達している。そして金利水準がより高く、利上げがより長くなるほど、企業収益と株価への圧迫が強まってしまう。

パウエル氏は3日の25ベーシスポイント(bp)利上げが最後の引き締めになる可能性を示唆した。だが雇用と賃金の上昇トレンドが持続する限り、同氏はその考えを見直さなければならなくなる。

●背景となるニュース

*米労働省が5日発表した4月の非農業部門雇用者数は前月比25万3000人増加した。リフィニティブの集計に基づくエコノミスト予想は18万人増。失業率は3.6%の予想に対して、前月の3.5%から3.4%に低下した。

*米連邦準備理事会(FRB)は昨年3月以降で10会合連続の利上げを実施し、3日にも政策金利を5─5.25%に引き上げると決定。経済が過熱気味で推移している証拠として繰り返し労働需要の強さに言及するとともに、急速な賃金上昇がインフレの高止まりをもたらすとの懸念を示している。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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