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コラム

コラム:米パイプライン攻撃、インフラ脆弱性への最大の警告

[ニューヨーク 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米最大級の石油製品パイプラインを運営するコロニアルパイプラインにとっては突然、ランサムウエアを現実問題として直視しなければならなくなった。サイバー攻撃を受けて、操業停止に追い込まれたからだ。

 米最大級の石油製品パイプラインを運営するコロニアルパイプラインにとっては突然、ランサムウエアを現実問題として直視しなければならなくなった。サイバー攻撃を受けて、操業停止に追い込まれたからだ。写真はイメージ。2017年3月撮影(2021年 ロイター/Kacper Pempel)

この攻撃は、米国が抱えるインフラの重大な脆弱性に対する最も大きな警告と言える。脅威に対処し続けるには、より多くの資金を投入し、一段と明敏な目も必要になってくるだろう。

コロニアルのパイプラインが早急に全面復旧しなければ、米東海岸地域向けのガソリンやその他石油製品の供給が危うくなりかねない。ただ、標的のコンピューターシステムを正常に動かないようにしてデータを盗み、「身代金」を払わない限りシステムを破壊するかデータを公表すると脅すというランサムウエアを使ったサイバー攻撃は、今回に限った話ではない。近年になって見る間に広がり、病院や学校、企業などの活動をまひさせているのだ。

ランサムウエアは、クラウドストライクが集計した指数によると、件数が急増中。サイバー犯罪における顕著な手口のうちのほんの1つではあるものの、より危険をもたらす可能性を秘める形で進化し、ハッカーは身代金を最大化しようと「大物狙い」の傾向が強まっているという。

一方で犯人を罰するのは不可能に近い。ロシア、イラン、中国といった国家の後押しを受けたハッカー集団は通常、これらの政府が「盾」になっているので、まず手出しができない。

それ以外のハッカーは、法規制が緩い地域で活動しているだろう。例えば、コロニアルにサイバー攻撃を仕掛けたとみられる「ダークサイド」は、ロイターの取材源の情報によると、旧ソ連圏を拠点に活動しているもようだ。

だから、企業や政府は自衛するしかない。送電網が襲われる懸念が取り上げられる傾向が多いが、現在も米国の安全保障上の脅威は続いており、協力して対応しようとする動きにつながっている。3週間前にも、バイデン大統領はサイバー攻撃から電力事業を守る態勢を強化するための100日間の取り組みを約束した。

もっとも、そうした取り組みは少なくともクリントン政権時代から存在し、今なお関係者の足並みがそろわないことが問題になっている。先月には、インスティテュート・フォー・セキュリティー・アンド・テクノロジー(IST)が、60以上の専門部隊が束になってランサムウエアに対抗するべきだと提言した。最優先事項はやはり国際間、そしてさまざまな米国のサイバーセキュリティー担当当局間の協調だ。

ISTによると、企業はもっと先回り的に動く必要があり、多分国際的に発展してきた各種の指針やインセンティブが助けになるだろう。当然ながら、こうした行動には相応の費用がかかり、株主にとっては痛しかゆしの面もある。それでもコロニアルの経験は、最終的に各企業経営陣の真剣な対応を促すのに、十分なほどの恐怖を与えるのではないだろうか。

●背景となるニュース

*米北東部最大の石油製品パイプラインを運営するコロニアルパイプラインは8日、ランサムウエアが絡むサイバー攻撃を受け、操業を停止したと発表した。

*コロニアルと米政府は10日現在、協力してパイプラインの安全確保作業を続けている。同パイプラインは、東海岸地域向けに供給されるガソリンやその他石油製品の半分近くの輸送を担っている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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