November 2, 2019 / 8:07 AM / 9 days ago

コラム:ベネズエラ反米政権の借金問題、無効求める暫定大統領の賭け

[ニューヨーク 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ベネズエラの野党指導者で、米国が暫定大統領と承認しているグアイド国会議長が、国営石油会社PDVSAの債務を巡る「シュールな」物語の主役を演じつつある。

 10月29日、ベネズエラの野党指導者で、米国が暫定大統領と承認しているグアイド国会議長が、国営石油会社PDVSAの債務を巡る「シュールな」物語の主役を演じつつある。写真は支持者の集まりに参加したグアイド氏。9月14日、カラカスで撮影(2019年 ロイター/Ivan Alvarado)

グアイド氏は、対立する反米のマドゥロ政権が発行し、グアイド氏側が非合法と見なすPDVSA社債の金利を、今週初めの28日までずっと支払ってきた。これはまともな話とは言えない。

問題となったPDVSAの社債は、米国に拠点を置くPDVSAの製油子会社シトゴ・ペトロリアム(年間売上高300億ドル超)の株式が担保に付いていた。だが、現在は債務不履の状態に陥っている。その社債を保有する米国の債権者からシトゴを守れる存在は、米財務省だけだ。実際に同省は前週、債権者によるシトゴの財産的処理を禁止した。

債権者側は今週、シトゴを通じたPDVSAによる9億3100万ドルの支払いが可能だったと主張。これに対してグアイド氏は、社会主義政権が長年にわたって破壊した経済の復興にその資金を充てる方が得策だと反論した。

この点ではグアイド氏に理がある。ベネズエラ経済は悲惨な状況に直面しており、マドゥロ氏と野党は昨年、実際の物価上昇率が13万%だったのか、それとも170万%だったのかという不毛な論争を繰り広げたほどだ。

もっとも、グアイド氏が道義的な議論で押し切れるのはここまでだ。その理由の1つは、同氏がこれまで、シトゴの資金を利用してPDVSA社債の利払いを実行してきたからだ。国際社会では同氏がベネズエラの最高意思決定者とみなされている以上、利払いの最終的な責任も免れない。そして法的に見れば、シトゴを財産的に処理したいという債権者側の考えは、しっかりした法的根拠に基づいている。

だからこそグアイド氏のアドバイザーは29日、「最期の賭け」としてニューヨークの裁判所にPVDSA社債の無効確認を求めて提訴した。ベネズエラ国会が承認していない起債だったというのがその理由だ。

だが、現実的にこれは成り立たない。ウクライナが英国の裁判所に同じような訴えを起こしたが、昨年却下されてしまった。また、PVDSA社債の目論見書には、国会承認の欠如がリスクとして明記されていない。グアイド氏の弁護人が単に混乱していたか、または、この問題が深刻なリスクにならないと確信していたかだろう。

また、起債権限は、起債する企業の属する国の法律で定められ、ベネズエラ最高裁が認めたとすれば、米国の裁判官がその判断を覆すのは難しいだろう。

グアイド氏の「イチかバチか」の提訴が成功しなかった場合でも、米財務省によるシトゴの保全措置が、引き続き同氏にとって助け船になる。

ただし、同措置の有効期限は3カ月間に限定されている。米政府は債権者との速やかな合意を期待しているのだろうが、その間にグアイド氏が債権者と合意に達すれば、PDVSA社債の支払いは「すっからかん」のマドゥロ政権に委ねられるという、これ以上ないほどシュールな(現実離れした)結末になるかもしれない。

●背景となるニュース

*ベネズエラ野党指導者のグアイド国会議長のアドバイザーは29日、ニューヨークの裁判所に2020年償還の国営石油会社PDVSA社債の無効確認を求めた。同社債が国会の承認を経ずに発行されたためとしている。

*同社債は、PDVSAの米製油子会社シトゴの株式50.1%が担保になっている。28日に9億3100万ドルの元利金が支払われなかったため、事実上デフォルト(債務不履行)に陥った。

*米財務省は24日、同社債に関連したシトゴ株の売却もしくは所有移転を来年1月22日まで差し止めると発表した。マドゥロ政権向け制裁措置の一環だ。シトゴは現在、米国ほか50カ国以上が正統な大統領として承認しているグアイド氏の管理下にある。

*同社債保有者にはアッシュモア、ブラックロック、T・ロウ・プライスなどの投資家が含まれている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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