June 15, 2020 / 6:28 AM / 23 days ago

コラム:有色人種の起業家支援、差別克服へファンドが陥る過ち

[サンフランシスコ 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - シリコンバレーは、多様性というものを、課題ではなく単なる新たな資産クラスとみなすという間違いを犯そうとしている。

アンドレッセン・ホロビッツやソフトバンクグループ非白人起業家を支援する新たなファンドの立ち上げを表明したが、問題は資金自体の不足ではなく、黒人やマイノリティーの起業家にほとんど資金が行き渡らない構造にある。写真はジョージ・フロイドさん暴行死を受け、カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた人種差別抗議デモ。6月14日撮影(2020年 ロイター/Ringo Chiu)

ベンチャーキャピタルのアンドレッセン・ホロビッツや、ハイテクファンドを運営するソフトバンクグループ(9984.T)は、人種差別に対する抗議デモの広がりを受け、それぞれ非白人起業家を支援する新たなファンドの立ち上げを表明した。

だが、問題は資金自体の不足ではなく、黒人やマイノリティーの起業家にほとんど資金が行き渡らない構造にある。その解決には、ベンチャーキャピタリストが自らを変えることから始めなければならない。

米ハイテク業界は今なお、白人男性に支配されている。シリコンバレー・バンクなどの調べでは、2018年にベンチャーキャピタルが提供した資金のうち、黒人起業家向けの割合はわずか1%だった。

また、全米ベンチャーキャピタル協会とデロイトが行った18年の調査に基づくと、投資パートナーの中で黒人と中南米系の比率は、いずれも3%に過ぎない。

白人警官がアフリカ系米国人男性、ジョージ・フロイドさんの首を押さえつけて死亡させた事件への非難が高まる中で、各企業は何らかの行動を迫られている。前週には、ソフトバンクグループが非白人起業家向けに1億ドル規模の「オポチュニティー・グロース・ファンド」を設立すると宣言。アンドレッセン・ホロビッツは同様のファンドを220万ドル規模で立ち上げ、リターンを再投資する構えだ。

とはいえ、ベンチャーキャピタルは既に非白人支援のための手段は持っており、それはベンチャーキャピタルがわずかに踏み出しさえすれば実現できるはずだ。実際、一部のベンチャーキャピタルはわざわざ新たなファンドを設立したりしないでも、支援に動いている。

たとえば、ニューヨーク州バッファローで2人の黒人が共同で創業した理髪店管理アプリのスクエア・テクノロジーズは9日、ベンチャーキャピタルのCRV、これは上層幹部の圧倒的多数を白人が占めるが、このベンチャーキャピタルが主導する投資家グループから、3400万ドルを調達したと発表した。もっともこれは例外的な事象といえる。

非白人をメンバーに加えた投資チームを作れば、改善に役立つだろう。アンドレッセン傘下の主要ファンドに黒人の投資パートナーは存在しないし、ソフトバンクグループも1人にとどまっている。

しかし、ソフトバンクがオポチュニティー・グロース・ファンドの投資委員会に黒人経営者2人を起用したのは、今後につながる。起用されたのは、家事代行サービスのタスクラビットのステーシー・ブラウン・フィルポット最高経営責任者(CEO)と、ベンチャーキャピタルのテックスクエア・ラブズを創業したポール・ジャッジ氏だ。

これは決して名ばかりの差別撤廃でもないし、差別解消をモットーに機械的に非白人に割り当てようとするものでもない。モルガン・スタンレーによると、黒人の年間消費額は1兆2000億ドルに上るし、中南米系市民の今年の購買力は1兆7000億ドルに達する見通し。

さらに黒人企業家に対して長年にわたって社会全体が偏見を持ってきたため、彼らの事業の価値は過小評価されがちで、つまり投資家は相対的に高いリターンが得られることが示唆される。

ハーレム・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、ジャリド・ティングル氏はBreakingviewsに、米国の人口動態は多様性のあるポートフォリオとリターン最大化の相性を良くする方向にあると説明した。非白人の起業家は、いつまでも白人と異なる基準を当てはめられ続ける必要はないということだ。

新ファンド立ち上げは確かに良いことだが、既存の「資源」をもっと賢く使う方がさらに上策だ。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループは3日、非白人が起業した会社に投資する1億ドル規模の「オポチュニティー・グロース・ファンド」を設立すると発表した。米国の黒人や中南米系の起業家が対象。

*ベンチャーキャピタルのアンドレッセン・ホロビッツは同日、「通常の経歴や資源のない」起業家を支援する「タレントXオポチュニティー・ファンド」を立ち上げると表明。当初220万ドルを拠出し、共同創設者のベン・ホロビッツと夫人が最大500万ドル規模まで拡大する考え。リターンは全てこのファンドに再投資する。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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