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コラム

コラム:ワイトマン独連銀総裁の後任、同じタカ派が好ましい理由

[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドイツ連邦銀行(中央銀行)のワイトマン総裁の行動は、かなり予測可能性が高いのが普通だ。就任から10年余り、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーとしてずっとタカ派姿勢を続けてきた。だが20日の突然の退任表明は、ECB理事会を驚かせる形になった。

ドイツ連邦銀行(中央銀行)のワイトマン総裁の行動は、かなり予測可能性が高いのが普通だ。就任から10年余り、ECB理事会メンバーとしてずっとタカ派姿勢を続けてきた。だが20日の突然の退任表明は、ECB理事会を驚かせる形になった。写真はワイトマン氏。フランクフルトで2019年11月撮影(2021年 ロイター/Ralph Orlowski)

ECBウオッチャーたちは、ワイトマン氏が年末に退任すると想定外の発表した際に「個人的理由だ」と説明したことを巡り、頭を悩ませるかもしれない。これは2011年、当時のシュタルクECB専務理事が辞任した局面で使った表現で、その裏には政策運営を巡る対立があったと推測されている。ワイトマン氏自身、政策論争では「やっかい者」側にいるのは間違いない。12年にはECB総裁だったマリオ・ドラギ氏が提唱した南欧諸国の国債買い入れ計画を批判し、無制限国債購入プログラム(OMT)はECBに課せられた財政ファイナンス制限に違反すると主張した。実際には、OMTが恐らくユーロ圏を救う役割を果たしたとみられる。

いずれにしても、ワイトマン氏の後任者がより協調的な人物なら、ユーロ圏経済を新型コロナウイルスのパンデミックから立ち直らせるECBの仕事は幾分楽になる。ECBは、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を混乱なく終わらせなければならない。現在3.4%の物価上昇率が来年高止まりしても、拙速な引き締めを避ける必要もある。このような難局が待っている以上、理事会メンバーの足並みがそろえば市場を落ち着かせられる。シュナーベルECB専務理事が、そうした後任候補の1人になってくるだろう。

だがワイトマン氏に代わるドイツ連銀総裁が大きな姿勢変化を示す保証は全くない。後任を使命するのは、中道左派の社会民主党と保守派の自由民主党が組む連立政権になりそうだ。そこで政治的な妥協が求められるので、最終的にはハト派より、従来のドイツ的な金融政策理論を掲げる人物が選ばれるのではないか。

もっともそれが破滅につながるとは言い切れない。ワイトマン氏は幾つかのECBの政策に批判的だったとはいえ、ECBが近年打ち出した新たな国債買い入れや銀行向け超低利資金供給、社債買い入れといったかなり踏み込んだ措置を阻止することはできなかった。

実際、ワイトマン氏の「抑制的な反対姿勢」は直感に反してECBのためになった可能性さえある。同氏はOMTを攻撃したものの、抗議のために辞めることはしなかった。今回退任表明した動機はまだはっきりしない。しかしこれまで理事会メンバーにとどまって冷静な批判を続けてきたことで、ECBがマイナス金利を導入し、南欧諸国の国債買い入れを拡大しても、ドイツの有権者に自分たちの利益は無視されていないと安心感を与える効果をもたらした。ユーロ圏にとっては多分、ドイツ出身のECB理事会メンバーはハト派よりタカ派である方が有益だろう。

●背景となるニュース

*ドイツ連邦銀行のワイトマン総裁は20日、今年末で退任すると発表した。

*2011年以来総裁を務めてきたワイトマン氏は「10年余りという長さは、ドイツ連銀にとってだけでなく、私個人にとっても新たなページをめくるのに適切な時間だという結論に達した」と職員向けの書簡に記した。

*ワイトマン氏はこの書簡で、欧州中央銀行(ECB)は「インフレ面の危険」への監視を続け、自らの限界を守る必要があると強調した。

*同氏は「通貨同盟の規制体系が行動と責任の一体性を担保し続け、金融政策がその使命が定める狭い範囲を尊重し、財政政策ないし金融市場の動きに巻き込まれない場合に、安定志向の金融政策は長い時間かかってようやく実現できる」と述べた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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