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コラム

コラム:イエレン氏、中国の米企業投資で厳しいM&A仲介者に

[サンフランシスコ 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - イエレン前連邦準備理事会(FRB)議長の履歴書に、「M&A(買収・合併)の厳しい仲介者」という新たな項目が加わりそうだ。イエレン氏は次期財務長官への起用が決まっており、就任すれば米国の安全保障に関わる買収を管轄することになる。M&Aアドバイザーを務める金融機関は覚悟した方がいい。

 イエレン前連邦準備理事会(FRB)議長の履歴書に、「M&A(買収・合併)の厳しい仲介者」という新たな項目が加わりそうだ。写真は2016年6月、ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ政権になって、M&Aの承認判断では国家安全保障上の懸念が従来よりも重視されるようになった。議会は2018年に、財務相の管轄下にある対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大し、外国法人が特定の米オンラインおよびデータの企業を取得することにつながる小規模な投資や事業案件まで監督対象に加えた。米中投資プロジェクトによると、この監督強化により、中国から米国への直接投資は16年から19年にかけて90%も減少した。

次期財務副長官候補の顔ぶれを見ても、イエレン氏が財務長官に就いた後にこの状況が変わることはなさそうだ。バイデン次期米大統領はウォーリー・アデエモ氏を財務副長官に決めた。同氏はオバマ前政権下で国家安全保障担当の大統領副補佐官を務めた人物で、今月1日のイベントでは、財務省は外国からの投資を含め、国家安全保障に関わる問題に「意識を集中」するべきだと述べた。

中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を巡る混乱が、最初の試金石となるかもしれない。トランプ大統領は中国政府が米国のデータにアクセスする懸念を理由に、親会社の北京字節跳動科技(バイトダンス)にティックトックの米国資産を完全売却するよう命じる大統領令を8月に出した。しかしトランプ氏は大統領選とその後の出来事に気を取られて売却案を放置し、行方は宙に浮いている。

現時点で、バイトダンスはティックトック株式の20%を米オラクルと米ウォルマートに売却する案に合意している。しかしイエレン氏が財務長官になれば、この案が日の目を見ることは考えにくい。方向性を決めるのはバイデン氏だろうが、同氏はトランプ氏ほどこの問題にあからまさに手を突っ込もうとはしないだろう。従ってイエレン氏がこれまで組織を率いてきたやり方通り、粛々と、感情をあまり介入させずに事を進めることになる。

これはとりもなおさず、厳しい態度を貫くということだ。米企業と外国企業との提携が国家安全保障を脅かしそうだという考え方に立つなら、八方丸く収めようとする折衷型のやり方はあり得ない。イエレン氏はティックトックのアドバイザー銀行に仕切り直しを求める可能性がある。そしてM&Aの阻止という意味で、これはほんの序の口かもしれない。

●背景となるニュース

*次期財務副長官に指名されたウォーリー・アデエモ氏は1日、バイデン次期米大統領が次期経済チームを紹介するイベントで、財務省は外国からの投資を含め、国家安全保障に関わる問題に「意識を集中」するべきだと述べた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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