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コラム

コラム:岐路に立つ中国ゼロコロナ、輸出失速で経済けん引役不在

[香港 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は10月の輸出が2020年5月以来、初めて0.3%減少した。輸出は弱い内需と不動産市況暴落の埋め合わせに大きく貢献してきたが、主要な欧米市場における需要鈍化の影響がついに表れた。

 中国は10月の輸出が2020年5月以来、初めて0.3%減少した。輸出は弱い内需と不動産市況暴落の埋め合わせに大きく貢献してきたが、主要な欧米市場における需要鈍化の影響がついに表れた。写真は上海で10月撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

中国の政府関係者は今、厳格な新型コロナウイルス封じ込め策を緩和するか、経済の下降スパイラルを加速させるリスクを冒すのか、選択を迫られている。

新型コロナ流行期に中国の輸出部門が好調だったことは、同国のサプライチェーン(供給網)の強じんさを示している。米国の追加関税や西側の貿易相手国との関係悪化にもかかわらず、海外の消費者は中国製品を買い続けた。

中国本土のメーカーは、混乱した海外のライバル企業からシェアを奪い、中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)のような企業は本業の傍らマスクを製造し、多額の「棚ぼた利益」を手にした。

中国は2021年3月に全世界の輸出に占める割合が16%近くに達したが、これは1970年代の米国以来、どの国も達成したことのない水準だ。

新型コロナの感染拡大前にエコノミストの一部には、中国政府は政策支援を輸出から国内の消費やサービスに切り替えるべきだという主張があった。海外売上高の経済成長への寄与はパンデミック前の数年間、横ばいかマイナスだった。

しかし、パンデミックによって海外市場がいかに重宝なものかが浮き彫りになった。2021年に輸出は年間の成長への寄与度が1.7%に上昇し、国内総生産(GDP)に占める比率は20%に回復。今年7月には貿易黒字が約1000億ドルと過去最高を記録した。

だが、先月になってこの不均衡の是正が始まった。米国と欧州への輸出はそれぞれ前年比で13%、9%減少し、輸入も減った。

このタイミングは悪かった。政府はまだ、国内消費を回復させられていないからだ。

主因は、習近平国家主席に気に入られたい官僚らが、商取引を麻痺(まひ)させる厳しいロックダウン(都市封鎖)を続けていることにある。その結果、サービス業と製造業の活動が低迷し、小売り支出は落ち込んだまま。

しかも、直接・間接的に経済の約4分の1を占める不動産市場の低迷に対して、当局者は手が打てなくなっている。

政府が「ゼロコロナ」政策の緩和を準備しているとの観測が流れ、国内の株式市場は高騰している。

しかし、仮に明日になてゼロコロナ政策が撤回され、顧客がこぞって買い物に走るようになっても、輸出企業の人員解雇による影響を埋めるのは容易ではないだろうし、企業の投資意欲も回復しないかもしれない。

消費と投資が低迷し、輸出も伸び悩む中、GDPの残りの構成要素である政府支出の重要性は一段と高まっている。

だが、この選択は、厳しい財政と政府の倹約志向によって制約を受ける。ゼロコロナ政策の即刻解除は有効だが、中国共産党は政治的に面目が傷つくかもしれない。

また、緩和してもすぐに成果が出なければ、政府の信用は再び失墜する。しかし、どこかで誰か、あるいは何かが、犠牲を引き受ける必要がある。

●背景となるニュース

*中国税関総署が7日発表した貿易統計によると、10月に輸出と輸入がいずれも前年比で減少した。輸出と輸入が同時に減少したのは2020年5月以来初めて。

*10月の輸出は前年比0.3%減と、前月の5.7%増から減少に転じた。アナリストは4.3%増と見込んでいた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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