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コラム

コラム:英国のEU離脱、銀行員だけではない失業リスク

[ロンドン 15日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 英国の欧州連合(EU)残留を支持する1つのまっとうな理由として、失業が増加する不安がある。英金融サービス部門のロビー団体「ザ・シティUK」は、英国が離脱する場合、2020年までに金融部門で10万人が失職する可能性があることを明らかにした。

 4月15日、英国の欧州連合(EU)残留を支持する1つのまっとうな理由として、失業が増加する不安がある。写真は英国のEU離脱を目指すグループの事務所。ロンドンで2月撮影(2016年 ロイター/Neil Hall)

それだけであれば対応できるかもしれない。ただ銀行業界以外の人が心配すべき理由は、その本当の衝撃がもっと広範囲なことにある。

ザ・シティUKの代行としてプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が計算したような大きな数字は、人を欺くこともあり得る。それによれば、英金融部門には120万が雇われている。シンクタンクのセンター・フォー・シティーズとケンブリッジ・エコノメトリックスによれば、ロンドンのシティだけでも、2020年までに3%の雇用の成長が見込まれている。

これを英国全体の金融サービス業界にまで広げると、同期間中に3万6000の新たな職が生まれる可能性がある。これを差し引くと、英国のEU離脱は、今存在する6万4000の金融セクターの職を奪う可能性があることを意味している。これは全体の5%に当たる。悪い数字に聞こえるが、決して絶望的なものではない。

しかしながら、金融セクターだけに狭く焦点を当てすぎると、誤解を招く恐れがある。このセクターの購買力は、他の多くの産業での職を創出する。銀行や保険会社、そしてこれらの企業の従業員は、法律や会計サービスから家電、食料まであらゆるものを購入する。

ロンドン東部の金融街カナリー・ワーフでの朝のカフェや、住民によるクロスフィットでのトレーニングセッションによる労働市場への貢献度を具体的な数字で得ることは極めて難しい。しかし、それが取るに足りないものだということを意味する訳ではない。

問題は、他の業界での解雇がニュースで大きく取り上げられるかもしれないことだ。国際鉄鋼統計事務局(ISSB)によると、英鉄鋼業界は2015年に約1万6000人の労働者を抱えていた。価格下落が招いた危機によって、過去1年間でその全労働者の約4分の1が職を失った。この痛みは本物で、今も進行中だ。

英国のEU離脱を意味する「Brexit」が、金融セクターやそれ以外の業界で大きな人員削減を招くことはありそうに思える。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが15日に発表した報告書によると、英国への海外投資は今後10年で22%減少すると試算されている。もちろん、ビジネスや投資が再び英国に戻る可能性も残っている。また、同時に苦しみが長引くということもあり得るのだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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