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コラム

コラム:英首相への提案、EU離脱を阻む「最後の手段」

[ロンドン 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 想像してみよう。欧州連合(EU)離脱の是非を問う今月23日の英国民投票を目前に控え、離脱派の圧倒的優位が伝えられる。パニックに陥る首相官邸に残された最後の手段とは──。BREAKINGVIEWSでは、このような仮定の下でキャメロン英首相の顧問が進言するかもしれない「意外な提案」を想像してみた。

 6月13日、欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票を目前に控え、離脱派の圧倒的優位によってパニックに陥る首相官邸。残された最後の手段とは──。このような仮定の下、英首相顧問が進言するかもしれない「意外な提案」を想像してみた。写真は2月、ブリュッセルのEUサミットに出席するキャメロン首相(2016年 ロイター/Dylan Martinez) 

首相、

まだ打つ手はあります。国民投票を少なくともあと3カ月延期できます。まず法案を1本通しましょう。もちろん野党の協力が必要ですが、労働党が賛成すれば延期は可能です。

コービン労働党党首は、国民投票後の即時辞任を首相に要求するでしょうが、これはのまざるをえません。

次に、ブリュッセルに飛んでください。EU各国の首脳に「EUの崩壊を許すか」「移動の自由を認める協定を修正するか」、2つに1つの選択を迫るのです。移民の制限が必要になるかもしれず、大変な交渉になるでしょうが、この問題さえ解決すれば、残留賛成派が一気に増えます。

「移動の自由を制限するなどとんでもない」という反論が相次ぐでしょうが、気にする必要はありません。協定では、公共政策上の理由で移動を制限することが認められています。おそらく、あくまで時限措置として、特定の国を差別しない形で、移動の自由を制限するという形になるはずです。

法的な問題も重要ではありません。各国首脳は、英国が離脱すれば、EU崩壊か、国民の支持が得られない「財政同盟」への支持表明を迫られることを知っています。ユーロが崩壊すれば、ブレグジットどころの騒ぎではありません。各国首脳の政治生命は、英国と合意できるかに左右されるかもしせません。

「欧州司法裁判所が認めてくれるのか」と疑問視する声が出るかもしれませんが、全くのナンセンスです。司法裁は、ユーロ圏諸国の救済や、欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れも認めたのです。

今、動くべきです。次期首相を狙うボリス・ジョンソン前ロンドン市長が、ここぞとばかりに持論を展開するでしょうが、各国首脳は熱狂的なEU懐疑派よりも、失意の人物に味方するはずです。

めでたく投票延期となっても、首相の辞任は避けられません。しかし、自分を犠牲にして国を守った愛国者として、歴史に名を残せるはずです。それに、オズボーン財務相やメイ内務相が選挙で善戦してくれるでしょう。赤字の削減を目指す2人に感謝すべきです。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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