[ロンドン 23日 ロイター] - 「おちゃのじかんにきたとら」「わすれんぼうのねこ モグ」など、シンプルなイラストで何世代にもわたり子どもたちを魅了してきた英絵本作家のジュディス・カー氏が死去した。95歳だった。
出版社ハーパー・コリンズが明らかにした。短期間の体調不良の後死去したという。死因は公表していない。
同社の児童書担当者は「ジュディス・カー氏を知り、書籍を出版できたことは最高の名誉であり、光栄なことだった」と述べた。
カー氏はドイツのベルリンに生まれ、ナチスが政権を握る直前の1933年に家族とともに出国。パリ経由で英国に移住した。「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」など35冊の絵本を刊行し、世界で数百万部が販売された。
最も人気のある「おちゃのじかんにきたとら」(1968年)は、少女と母親が自宅でお茶を飲んでいると、突然トラが訪ねてきてあらゆる食べ物を平らげて去っていき、二度と戻らなかったという話だ。
トラに隠された意味があるかどうかはしばしば問われたほか、トラが自宅に押し入って所持品を持ち去ったヒトラーとナチス政権を象徴しているとの指摘もある。
だが、カー氏はこれを否定。この話は娘と動物園に行ったときに思いついただけで、トラに罪はないと説明した。2015年にはロイターに対し「何を考えるべきかを、小さな子どもに教えようとは思わない」と語っていた。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」