[ロンドン 1日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は1日、新型コロナウイルス危機からの経済回復過程において一時的と思われるインフレ率の上昇に過剰反応しないことが重要だと述べた。
ロンドン市長公邸で毎年6月に開催する会合で、金融サービス業界向けにオンラインで講演した。
ベイリー総裁は、24日まで開いた金融政策委員会で示した見解と同様に、中銀がインフレが持続しないと考える理由には「十分な根拠がある」と述べた。
その上で、「一時的に高まる成長率とインフレ率に過剰反応しないことが重要で、時期尚早の金融引き締めによって回復が損なわれないようにしなければならない」と述べた。
その上で、中銀はより持続的なインフレ圧力の兆候を注意深く見守るとし、「もしそうした兆候が見られた場合、中銀は金融政策手段で対応する用意がある」と述べた。
先週、英中銀は政策金利と量的緩和政策の維持を発表。経済活動の再開に伴いインフレ率が3%を超えると予想しながらも、中銀の目標水準を超える物価上昇は「一時的」との認識を示した。
ただハルデーン理事は、3%を超えるとの中銀の予想は低すぎると指摘していた。
ベイリー総裁は講演で、インフレ上昇が一時的と考える要因が少なくとも3つあると指摘。前年比の物価上昇率は、前年同月が最初のロックダウン中だったという要因でゆがめられている、解き放たれた需要やパンデミックの影響による供給網の混乱で供給不足が起こっている、サービス支出が回復すれば、モノに偏っていた需要がならされる、と説明した。
パンデミックを受けて政府が導入した雇用維持措置が縮小され、英中銀は失業者増加の可能性も懸念している。
ベイリー総裁は、平均所得の大幅な上昇は、接客など低賃金の職が大きく減ったことが主因だと指摘し、「われわれが注目すべきは、人々がいかに早く労働力に復帰するか、どのクラスでそれが起こるかだ」と述べた。
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