[ロンドン 9日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のハルデーン理事は9日、「かなり強力な物価圧力」がすでに存在しており、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて導入した大規模な金融政策をある段階で縮小する時期に来ているかもしれないとの認識を示した。
同理事はLBCラジオとのインタビューで「われわれは蛇口の引き締めを開始し、われわれが刷っている紙幣の量のペースを落とし、最終的には逆の方向に向かい始める可能性さえある」と述べた。
同理事は「賃金とコストの双方が上向いているのであれば、ハイストリートのインフレはそれほど遠くない。私たちのような人間は、こうした状況を注視するのが仕事だ」と発言。
「新型コロナ危機の最中に導入した金融政策の支援措置について言えば、これはある段階で蛇口を閉め始めなければならないことを意味する可能性がある」と述べた。
同理事は今月、退任する。5月の金融政策委員会では唯一、債券買い入れプログラムの縮小に賛成票を投じた。
同理事は以前から、景気回復に伴うインフレ高進のリスクに警鐘を鳴らしている。
同理事はLBCに対し、依然として家計消費を促す必要があり、企業が賃上げすれば、それが容易になるかもしれないとも発言した。
英国の4月の消費者物価指数(CPI)は前年比1.5%上昇。中銀は年内に目標の2%を上回ると予想している。ベイリー総裁など、複数の中銀高官は、物価上昇は一時的である可能性が高いと指摘している。
同理事は「われわれが現在計画しているよりも、少し長い期間にわたってオーバーシュートする可能性があるというのが、私にとって現時点でのリスクだ」と述べた。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」