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コラム

コラム:英中銀、利上げ経路巡る市場との対話は苦難の道

[ロンドン 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 利上げ経路を巡る中央銀行と金融市場の攻防に、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のベイリー総裁が新たに参戦してきた。ベイリー氏は、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長や欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁と同じく、政策金利は市場が示唆するほど前のめりに上昇していかないのだ、と投資家を説得しようとしている。だがベイリー氏の主張は、市場に受け入れてもらうのが最も難しいかもしれない。

 11月4日、利上げ経路を巡る中央銀行と金融市場の攻防に、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のベイリー総裁が新たに参戦してきた。同日、ロンドンで代表撮影(2021年 ロイター/Justin Tallis)

BOEは4日、金融政策委員会(MPC)メンバー9人のうち7人が政策金利据え置きに賛成したと発表。投資家は利上げをほぼ確実視していただけに、ポンドは急落、英国債利回りは急低下した。しかし市場に衝撃を与えたのは、金利据え置きを支持した政策委員の数だけではなかった。ベイリー氏は、MPCの物価見通しという形で暗示的な政策ガイダンスも提示。それによると、政策金利が市場の織り込む経路をたどった場合、2024年終盤の物価上昇率はBOEが掲げる2%の目標から下振れてしまうという。

これは投資家に対して「先走りすぎですよ」と伝える上で非常に微妙な方法だったとはいえ、ある程度の効果はあった。12月の次回MPCについて市場が現在想定している利上げ確率は60%に後退。利上げサイクルの最終到達水準の予想も切り下がっている。それでも、短期金融市場は英政策金利が今の0.1%から来年12月には1%まで上昇すると予想する。そうした利上げペースは、ベイリー氏が警告した物価の下振れを生み出すには十分だろう。

ベイリー氏は、パウエル氏ないしラガルド氏よりも市場の期待を抑えるのに苦労するのではないか。FRBには2つの使命があり、パウエル氏は物価安定だけでなく完全雇用も目指している。つまり、消費者物価指数(CPI)にだけ焦点を当てた旧来型の目標達成を迫られるベイリー氏に比べ、利上げを期待する市場により強く反論することが可能だ。一方でECBが直面している物価の上振れ幅は、FRBやBOEほど大きくはない。物価圧力がやがて消えると信じられる根拠も、ユーロ圏の方が米国や英国より多い。

ベイリー氏の市場との対話をより困難にする要素がもう1つある。BOEの利上げ開始時期はFRBより前、ECBよりはずっと前になる公算が大きい。そして投資家はいったん最初の利上げを見込めば、次の利上げに目を向け始めるのが普通だ。我慢強さを説き聞かせるのがいかに厄介か分かってくるだろう。

●背景となるニュース

*イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は4日、金融政策委員会(MPC)が7対2で政策金利を0.1%に据え置くことを決めたと発表した。国債買い入れプログラム継続は、6対3で決まった。

*最新の物価上昇率見通しで想定されたピークは来年4月の5%前後で、8月から大きく上振れした。ただその後は供給の混乱が和らぎ、世界的な需要とエネルギー価格が落ち着くのに伴って、来年後半になると物価上昇の勢いは鈍るとみられている。

*ポンドは急落、英国債の利回りは急低下した。ベイリー総裁が先月、インフレ期待を抑える必要性に言及したため、市場では利上げをほぼ確実視していた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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