[ロンドン 17日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のラムスデン副総裁は17日、マイナス金利政策を巡る討議は不測の事態に備えるもので、量的緩和(QE)をなお主要な景気刺激策だと考えていると述べた。
バーミンガム大学向けの講演で「量的緩和措置はこれまでも利用され、試されてきた政策ツールだ」と指摘。
中銀は新型コロナウイルス危機の英経済への影響を和らげるため、過去1年間に量的緩和の資産購入プログラムの規模を倍増し、8950ポンド(1兆2400億ドル)とした。
ラムスデン氏は、量的緩和が引き続き需要の微調整を図る最善の方法との認識を示した。
中銀は現在、週44億ポンドのペースで国債を買い入れているが、昨年11月に決めた1500億ポンドの追加買い入れ枠は2021年いっぱいかけて埋め切る予定。このため、同氏によると「市場機能の著しい悪化は起こらないとの前提で、今年のどこかの時点で購入ペースがさらに鈍化する」見通しだという。
中銀は今月、マイナス金利導入に備えるため少なくとも6カ月間は必要との認識を示した。
これに関してラムスデン氏は、並行して進められる金融引き締めに向けた新たなガイダンスを検討する作業と同様、「不測の事態に備え、金融政策手段を将来的に活用する可能性を透明性のある形で検証する」意味があると述べた。
中銀が今月示したスタンスについて、市場は近い将来にマイナス金利が導入される可能性は低いと受け止めている。
ラムスデン氏は、新型コロナ対応の緊急の財政出動の財源を確保するための大規模な国債発行とQEに関係性はあるが「これは『財政ファイナンス』の指摘とは全く異なる」と強調した。
同氏はまた、英国内で急ピッチで進められているコロナワクチン接種により金融市場のリスク選好度合いが高まり、短期金利の期待値が押し上げられているが、水準はなお非常に低いと指摘した。
中銀による社債買い入れについて、経済の炭素集約度を低下させる政府の目標とどのように整合性を確保するかについて、中銀が苦慮していることも明らかにした。
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