[ロンドン 16日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が16日発表した11月の小売売上高は、前月比0.4%減と予想外のマイナスとなった。生活費危機で家計が圧迫された可能性がある。
ロイターがまとめたエコノミスト予想では0.3%の増加が見込まれていた。
前年比では5.9%減と市場予想(5.6%減)を上回る落ち込みとなった。
アクセンチュアは「サッカーのワールドカップやクリスマス商戦のブラックフライデーでも販売が増えなかったことは、小売り業者にとって大きな失望だろう。特に前月は販売が増加していた」と述べた。
10月の小売売上高は前月比0.9%増。9月はエリザベス女王の国葬に伴う休日で販売が低迷していた。
ONSによると、11月28日の「サイバーマンデー」のオンライン販売が11月の統計に盛り込まれず、12月の統計に反映されることが、小売売上高減少の一因になった可能性がある。
小売売上高は2019年の水準を1.5%下回った。
EY・ITEMクラブのエコノミスト、マーティン・ベック氏は「目先、深刻な家計の圧迫が続くだろう。賃金の伸びは今後もインフレ率を大幅に下回る」と予想。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、オリビア・クロス氏は、11月のインフレ率が前月の11.1%から10.7%に鈍化したものの、消費者の間に安心感は広がらないと指摘。「小売販売の持続的な回復が進んでいるとは思えない。高インフレで今年第4・四半期の家計の実質可処分所得はさらに1.1%減少し、12月の販売数量は低迷する」と述べた。
パンセオン・マクロエコノミクスのサミュエル・トゥームズ氏は、今月の大雪で12月の小売販売はさらに落ち込むだろうとの見方を示した。
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